美術館
「おいおいおい……マジかよ」
銀色の髪に緑の瞳をした青年は、ガチャガチャガチャガチャと美術館の入り口ドアノブを捻る。
しかしそれは開く事なくドアノブを捻る音が虚しく響くだけだった。
「勘弁してくれ…ぇ?」
ふわり、とした浮遊感に下を向くと地面に黒い巨大な穴が空いており、青年の身体は吸い込まれる様に落ちて行く。
「わぁぁぁぁっ?!」
下へ、下へと落ちて行き、白い部屋に叩きつけられるように着地する。
「いた…くない?」
恐らく相当の高さから落ちてきたのだが、彼には怪我一つなかった。 まるで、アリスが兎を追い掛けて穴の底に落ちたように……。
「……で、ここって何処?」
グレーの床に様々な絵画やオブジェの並ぶ白い壁。 先ほどまでいた美術館とかなり雰囲気が違う。
「あの……」 「うわっ?!はい!」
不意に声を掛けられ、鞭打ちになりそうな勢いで振り返った少年の目の前に居たのは、白くて長い髪に青い瞳。そして白いワンピースを身に付けた少女だった。
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