大川日景が第9部隊に配属されるまでの流れ
2013/07/07 00:31


現状の3年生(第9部隊所属)になるまでに日景は一般部隊兼、暗殺部隊所属でした。


参照:日景関連簡易年表


入学してから1年の秋頃までは通常カリキュラムで軍人基礎を勉強。
1年生秋以降は小虎くんと選択科目演習で同じ班になり、約3ヶ月間程一緒に活動することになります。

それから年が明けて春になり、2学年に進級。
演習科目で成績上位者の中から暗殺部隊への配属者が選ばれて、日景もその一人となります。
2年生の秋頃までは一般部隊に紛れながら暗殺部隊員として活動。

で、1年生は通常カリキュラムで進めば大体秋頃に実戦訓練や戦闘に入り始めると仮定しまして、日景はその中でもかなりの功績を上げている人物――森銀司朗、獅童司などの噂を小耳に挟みます。
そうして元々入学前から話題になることの多かった2人の内、同じ武器を使用している銀司朗へ興味を持ち、程なくして演習場に銀司朗がよく現れることを聞きつけて接触しに来ます。

「おや、君が森参謀殿…かな?」
「…貴女は?」
「ふふ。さて、一体誰だろうね?」

にいまり笑いながら声を掛けて、名乗りもせずに手合わせを申し込んでみたりして。でも名乗らない奴の相手はしないとばかりの銀司朗の態度に苦笑しつつ、

「日景、」
「…?」
「ああ、私の名だよ。大川日景だ。…名乗れば私と遊んでくれるんだろう?」
「いえ、遊ぶなどと私は一言も…」
「…だめかい?相手をしてくれるまで私はずっとここで待つつもりなのだけれど…まあ、とにもかくにも、以後お見知り置きいただけると嬉しいな、森参謀殿」

そんなやり取りをしてから結局、仕方ないですねと折れた銀司朗が相手をして、これをきっかけに日景は度々銀司朗の前に姿を現すようになります。
場所は演習場に始まり銀司朗の執務中に遊びに来ることもあり、勝手に茶を淹れて飲んだりお菓子を漁ってゴロゴロして帰る野良猫状態。

銀司朗は銀司朗で「最近野良猫が私の茶菓子を消費するので大変困ってます」だとか本人の前で言っちゃうような感じ。
日景が任務で危ない橋を渡っていたりしたらそれとなく危険を示唆するのに、日景はそういう話になると「さて、何のことだか分からないね?」とかなんとかフラフラどっか行っちゃいます。

プラス、小虎くんとは、全く部隊が離れちゃってるので廊下なんかで顔を合わせれば「最近、どうだい?元気でやっている?」とか時間がない中でもちゃんと挨拶なんかはしてる関係。
数ヶ月間共に行動していた人物の中では、非常に居心地のいい空気感を持つ存在として日景に認識されています。
そのため、自分から進んで交友関係を広げない日景にしては珍しく好意的で、銀司朗のところへ行くようになるまでは唯一友人と呼べるような存在だったかも。

とまあ、そういうなんやかやがありつつ、桜白の雨(仮)(←〇〇の春とか〇〇の変みたいな戦闘の比喩名的な感じ)が起こって、2年生の終わり頃に日景は負傷します。
暫く続いていた小競り合いに決着をつけるべく、日景率いる暗殺部隊の一班は敵陣に深く切り込むような形での作戦に、まず少数で向かうことになります。
(↑の作戦は、銀司朗や獅童さん辺りの参謀組にはオフレコで、暗殺部隊に直接下された内容かも?)

そこから単独で行動、上手く相手陣に入り込めた、と思わせて実は相手方の作戦にハマってしまっていて、けど見方を変えれば敵方の注意がこっちに向いている間は白軍の別作戦にかかる負担が減る、と判断。
窮地の中、逃げ場を失いながらも時間稼ぎにあちこち隠れながら日景は移動し続けます。

その一方で、別作戦で動いていた小虎くんが、想定していた敵の動きとは違うことに気づいて思考を巡らせ――ふいに、ちょうど昨日に顔を合わせた日景との会話を思い出します。

「私も、」
「え?」
「…私も、死んだ時は、その中の内の一つになれるのかな」
「大川…さん?」
「…ふふ、なんでもないよ。ただの独り言さ」

小虎くんの付けているピアスが戦死した仲間の数で、それを戒めにしているのを知っている日景は、彼が自分も同じように仲間として、友人として見てくれるのなら、もしもそのピアスの1つに自分も加わえてもらえるのなら、きっと一人で死んだとしても寂しくはないな、そんなことを考えながら呟いたわけなんですが。
まあそんな内情などは知る由もなく、慌て日景が配置されたはずの場所に姿を確認しに行ってみても彼女は居ない、しかもとっくの前に出発しているという周りの証言、おかしい、これは…もしかして――!?

みたいな。
きっと大体そんな流れで小虎くんが動いて、日景の班がかなり危ない状況だと気づき、「もうあんな思いは絶対にダメだ、」そう珍しく我儘を言って、精鋭を連れて駆けつける。

それから仲間とはぐれて、追い込まれて腹部に向けられた攻撃を避けきれず負傷した日景は、意識がぐらつく絶体絶命なタイミングで小虎くんたちに救い出されます。
真っ先に駆け寄って来た小虎くんに困ったような顔で笑って、

「っ、はは、君は…馬鹿だなぁ……無茶、しすぎだよ…祭、坂、」
「うん、でも、いいんだ、馬鹿でいいんだ、…無茶なんかじゃないから、帰ろう、ね」

両手を握ったまま言い聞かせるように優しく囁いて、下手くそに笑って、それでも次の瞬間には戦況を切り抜ける為に、小虎くんは頭を巡らせて知将の顔になる。

その後、日景は救護班に運ばれて戦線離脱。
重症ながらどうにかまだ意識を保ちつつ帰って来た日景に、銀司朗がため息混じりな声で

「本当に目が離せない人ですね…分かりました、うちに来なさい」
「っ、ふふ、そう、だなぁ…じゃあ、お言葉に甘えて……君のところで世話になろう、かな、」

なんて会話を冗談だと思って交わしてから、日景がぷっつりと意識を失い目を覚ました頃には二日経っていて、救護班員に呼ばれて来た銀司朗が「お目覚めですか」とお出迎え。
まだ傷口の塞がっていない腹を気遣ってか、起き上がろうとする日景を銀司朗が手で制するも、澄ました顔で何も言わずに手渡された紙に思わず日景は目を瞬かせます。

「こ、れは…配属変更の、通達…?」
「ええ。貴女は、本日づけで我々第9部隊の指揮下に入ります」
「…、ははっ、まさか、現実になるとは…」
「?私は冗談など言った覚えはありませんが」
「ああ、そう……っ、ふふ、…まったく、君って人は本当に……かなわない、ね、」

痛みで顔を歪ませながらも一気に脱力して、苦笑い。
日景が負傷した今回の出来事をきっかけに、交流しだしてから日景の行動を見て散々注意をしてきた銀司朗が上に掛け合い配属部隊の変更を有言実行。
おおよそこのような流れで日景は3年へ進級する前に、第9部隊へ正式に配属されることとなりました。

それから数日は安静に――と、言われていたにもかかわらず病室を抜け出して理人ちゃんや銀司朗に怒られたりしつつ、日景は第9部隊メンバーやテンニ、他の部隊隊員たちとも交流を持っていくようになるのですが、それはまた少し後のお話。






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