鳴門 | ナノ
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74.


「ウマクイッタナ」
「いや、長門が裏切る可能性も一応考えてはいたが俺の本命ルートじゃないことは確かだ。うずまきナルト、奴のせいで計画が少しズラされた」
「ドウスル? 動クノカ?」
「ああ、虎視眈々といくのはここまでだ。俺は"月の眼計画"のために頃合いを見て長門の輪廻眼を回収する。お前はなまえを探してこい」

自由にさせるのもここまでだ。ゼツの報告からなまえが"血契りの術"で誰かを生き返らせたことは明らかだった。自らの寿命を削り命を分け与えるそれは人繋ぎの血を媒介にすることで初めて成り立つ特殊な術であり、自らの血をも力に変換出来るようになったと言うことは人繋ぎとしての成長を意味していた。不知火なまえと人繋ぎ───二つの境界線が着実に曖昧になっていく。それは月の眼計画を進めるためには非常に重要なことだった。

「なまえの力もそろそろ完成させておきたい。すでに兆しが見えてるなら時間の問題だろう」
「ダト良イガナ」
「フン。どの道、なまえを連れ戻すんだ。さっさと行ってこい」
「分カッタ」







弟を愛し、木ノ葉の未来を想うイタチの真実。神話に過ぎなかったはずの六道仙人の存在と輪廻眼。うちはと千手の因縁、そしてナルトとサスケ─────ヤマトの木遁に縛られ、俺に背後を取られながらもあくまで余裕を崩さないマダラの口から語られるものは今までの事実を悉く打ち砕くものだった。

「ナルト、お前はいずれサスケと戦うことになるだろう。いや、俺がお前にサスケをぶつける。長きに渡る因縁の戦い、うちはの存在をサスケに証明させる」
「サスケはテメーのオモチャじゃねえ! 勝手なこと言ってんな!」
「サスケの事情は分かった。だが、なまえは? なぜあの子まで手懐けようとする?」

興奮するナルトを宥め、マダラに問いかけたのはずっと前から不思議で堪らなかったこと。敵の立場でありながら幾度となくこちらに手を貸すあの子の本質はおそらく里にいた頃から少しも変わっていない。なのにあの子は頑なに暁に身を置き、マダラの側につこうとする。なぜ。

「お前達もなまえが人繋ぎであることくらいは流石に知っているだろう?」
「……」
「あいつもサスケと同じだ。己の意思を取るか、人繋ぎの意志を取るか、サスケ以上の賭けだったがあいつは後者を取った。俺が手懐けたんじゃない。なまえ自身が選んだのさ」
「それこそ嘘だ!」
「俺はただ真実を告げ、別の選択肢を提示したに過ぎない。人繋ぎとしてお前達の敵でも味方もない曖昧な存在になることを選んだのは、紛れもないなまえ自身だ!」
「……それでもお前がなまえの日常を壊したことに変わりない。そうまでしてお前は一体何をする気だ。何が望みなんだ?」
「そうだな。強いて言うなら完全体になることか」
「完全体?」
「どう言うことだ」
「お前達に話してもあまり意味がない。もっと効果的な場で話す。お前達との会話楽しかったよ……じゃあな」

そう言うや否やマダラは自分ごと空間を歪めてこの場を去ったのだった。

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