オレがいる階に来たのはいいが、どの部屋かはわからないだろう。
さっきの大胆な行動といい、諦めて帰るとは思えない。
順番にドアを壊しながらオレを探すことだろう。
どんなホラー映画だ。
オレはチェーンロックをしたままドアを開けた。
廊下を渡ってくる神崎の姿が見え、あちらも半開きのドアから窺うオレの存在に気付き、真っ直ぐにこちらにやってくる。
金属バットの先端を引きずりながら来るな。
怖ぇよ。
「……ここ開けろ」
神崎は金属バットを持ち替え、ドアのチェーンに金属バットの先端をかけた。
「オレとじゃムリなんだろうが。今更なんだよ…」
「ああ。ムリだ」
「だったら…」
「聞けよ。訂正させろ」
「訂正?」
神崎は金属バットをおろし、言いにくそうに「あー…」とうなじを掻いた。
「確かに…、今回はオレが悪いのかもしれないかもしれない」
「どっちだよ;」
「オレは恋人?として付き合ってるとは思ってなかったけどよ…。それでも、てめーと過ごした3ヶ月…、スゲー楽しかった…。いつも夏目と城山と一緒だったけど、遊園地とかダチと行ったことなかったし…。新鮮だったっつーか…。おまえのこと…、今まで以上に知れたし……」
「……………」
「姫川の言う「好き」かどうかはわかんねーけど…、嫌いじゃねえのは確かだ。じゃねえと、このオレがわざわざここに来ようとか思わねえだろーが…」
金属バット握りしめながら、なに可愛いこと言ってくれちゃってんの。
神崎の顔を覗きこむと、「じ、じろじろ見んな」と真っ赤な顔でそっぽを向いてしまった。
「それだけ伝えたくてだな…」
「オレと恋人として付き合うのがムリってのは? 家のことか? それとも、男同士だから?」
「オレが気にしたのは後者の方」
「なんで」
「だっておめー…、男同士だと結婚できねえだろ」
は。
まさか、こいつの考え方って、交際=結婚?
極端すぎる…!!
いつの時代の考え方だよ!!
なにこの愛しいバカは!!!
オレは掌で自分の顔面を覆い、ずるずるとその場にしゃがみこんだ。
神崎はそれをショックを受けていると思ったのだろう。
しゅん、と申し訳なさそうな顔で「悪いな、オレが男に生まれちまったばかりに…」と謝られた。
そのまま帰ろうとするので、オレはすぐさま立ち上がってチェーンを外してドアを開けて「神崎!」とその右腕をつかんで引き止める。
「海外には同性婚があるって知ってるか?」
「…どうせーこん?」
やっぱり知らねえか。
「日本じゃまだムリだが、海外…、例えばアメリカとか、男同士の結婚式がある。だから…、国外逃亡のちに結婚。……ロマンチックなシナリオじゃねーか!」
「ちょ、ちょっと待て。なんの話してんだ!;」
「神崎、結婚できるなら、オレと正式に恋人として付き合ってくれるんだな!? それでもオレじゃダメか!?」
オレは神崎の両肩をつかんで真剣な顔で問い詰めた。
気圧されたように仰け反っていた神崎だったが、目を伏せながらぽつりぽつりと言い出す。
「と、突然そんなこと言われても…。おまえのことそういう意味で「好き」かどうかもわかんねーし…。……けど…、おまえと手ぇ握ってる時…、心地よかったっつうか…、当然のように受け入れられたのって…、やっぱ…、そういうことなのか…? フツーは嫌がるもん…なのか?」
嬉しいことに、こいつの手を握ったのはオレだけのようだ。
不安げな顔の神崎。
自分の気持ちにも気付いてないってか。
「じゃあ、今から確かめてみるか?」
「?」
そう言ってオレは神崎の両頬に両手を添え、唇を近づけた。
「これで気持ち悪くなかったら、そういうことだ」
まずはこいつに、男同士でもキスができるところから教えてやろう。
「愛してるぜ、神崎」
あとのことはそれからだ。
.END
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ヒエエエ!!蓮花様から相互記念で
頂いてしまいましたアアアア!
ちょ、ちょっ…おぉ、腐腐ッ…
すごく滾りすぎて…顔筋が、ッ!!
私の大好きすぎて辛いぐらいの
もどかしい姫神で姫ちゃんがヘタレで
神崎くんが男前で…たまりません<●><●>
殺す気ですか<●><●>!!????
こんな素敵な小説を独り占めとは…
ヒッヒッヒッ////////
ニヤニヤ爆発しながら読ませていただきます!
蓮花様本当にありがとうございました!!
そして今後もGASと河島をよろしくおねがいします!