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 無題(15/21)



学食に着けば4人をみて、というよりは先陣切った愛ノ馬富由という存在に噂が沸き上がる。
そして一緒に来ましたと言わんばかりの距離で入ってきた有栖。噂を知らないものからすれば今から修羅場なのかと変な守備スペースを創らせるほど異様な光景だ。
そして啓太と直。

「ああ今日もきびきびしてるなあ啓太君、良い筋肉付き…」

「愛しの直ちゃんがなぜ愛ノ馬や有栖とおお!」


(啓太と直ちゃん、人気なのか……)

弧夏はひとしきり食堂を見回して渇望の眼差しに苦笑する。


(大丈夫なのに。きっと2人とも物珍しい弧夏という存在に面白がって、一緒に居るだけですぐ離れるだろう)


どこか冷めて考えてしまう思考を振り切り、ランチを選ぶ。
有栖が横で物言いたそうにみてくるから「どれにするか決めた?」と先に話しかけてみた。首を否定の意味で振った有栖は、ど れ に し よ う か な〜と指で色々指しながら歌い出す。じゃあ俺も、なんて便乗しだした啓太に負けられなくて、じゃあ俺もと自分も便乗した。


「―…で、結局3人ともBランチなんだ」


パスタにしたらしい直ちゃんは、呆れたように俺たちを眺めるから啓太と有栖が口を尖らせる。
確かに一番左端から同じ台詞でどれにしようかな、なんて歌えば皆一緒にもなるわな。仲良しすぎるお揃いのBランチが可笑しくて、つい眉を八の字にして笑う。


「あーあ、弧夏と俺だけ同じなら良かったのに」

「雨宮…おまえ、そんなに弧夏と仲良かったのか?」

「やだな有栖で良いってば啓太。そうだなー仲良くなるところ!」


有栖の眩しい笑顔に周りがざわめき、もちろん俺も椅子に座りながら嬉しさに笑みを深めると正面に座る直ちゃんが真面目に人差し指をたてる。

「いいか弧夏、有栖の発言は天然タラシだ。騙されるなよ」

「はあ?俺、女じゃあるまいし」


たまに奴らはこーゆうところがある。
きっと富由の見た目じゃあしょうがないけど、中身は俺だ。タラシには引っ掛からない。

まあ、有栖は確かにいい人だけど!

会ったばかりで信用しきるほど警戒心がないわけではない、ただちょっとあれだ、前までが誰とも関わらなさすぎて孤独死しそうだったから簡単に俺がなついちゃっただけだ。
やだな単純なやつって。
とゆうか悪いな富由!見た目おまえなのに。

「そういえばさー」

「うん」直ちゃんにむかって頷く。

「弧夏は誰の団にしたの、体育祭」

「ああ、柊幸明の団だよ」

ひそかに聞き耳をたてていたらしい、周りがざわめいた。
愛ノ馬富由が柊幸明の団につくなんて、そんなに可笑しなことじゃないと思う。でも周りは「あの愛ノ馬が―…」と言葉を濁して怪訝そうだ。

もちろんと言うべきか、直ちゃんや啓太もちょっとだけ目を丸くしながらこちらを見ていた。

「直ちゃんは誰の団?」

「あ、ああえっとー無属団だけど」

「そっか」

「……ほんとに富由じゃないんだな」



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