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 無題(2/37)



「…おい真崎、なんつーやつら連れてきてんだよ」


いや知らねえ、仕方がなかったし。
横に座って不貞腐れたように小声でぼやいてきたスリップ得意野郎、犬飼陽史(いぬかいようじ)は女子を虜にする男3人をみておれを睨む。
さきほど自販機のところで出会ってしまったのは我等が白雪北斗学園誇る、生徒会長 宇佐見賢一郎だった。

実をいうと白雪は外出禁止。

完全な学生寮があるから特別な理由をもって外出届をだしたやつしかでられない。らしいが、だれもそんな柔な規則守ることなく、バレなきゃいいやと裏道から抜け出していた。俺たちはその抜け出して遊んでいる真っ最中なわけで、生徒会長様にみつかるなんて思いもしなかったわけだけど、何故か会長たちも混ぜろと割り込んで今にいたる。

ようは生徒会も規則を破るわけだ。


「ああ゙〜萎えた、一般庶民の合コンにあんなイケメンとか萎えた」

「犬飼…あからさまだぞ」

「ったりめえだろ。なんで生徒会役員が3人も、しかも人のターゲットに…っち、うぜ」


イケメン爆発すればいいのに。
そう言いながら煙草をだそうとした犬飼にギョッとする。
さすがにそれはヤバイだろ、いくら規則破って遊びにでる生徒会もそれは良い顔しないと思う。止めようとてを伸ばした俺の手より、数秒前に違う手によって犬飼の煙草がとりあげられた。


「千鶴のまえで吸ってんじゃねえよテメエ」


低く聞きようによっては人を恐がらせる声音、黒い前髪からのぞく切れ長の眼が雄々しい。
宇佐見会長だ。さっきも同じようにあの眼で睨まれたが、今のように怒気を含んだような瞳ではなかった。千鶴?それは俺らと来ていた伊神千鶴(いがみちづる)のことだろうか。知り合いだなんて聞いてないけど。

ちらりと伊神のほうをみれば、飽きれ顔の伊神とばっちり目があった。


「…宇佐見いいよ、吸わせてやれって」


嘘こいつ年上にタメ口きいてる。
元より偉そうな態度の伊神だけど、一応礼儀や仁義にあついやつだと認識していたから驚いた。
宇佐見会長は舌打ちをすると奪った煙草を「悪かったな」と犬飼に返す。


「…なんだイイ奴じゃん」


おまえ犬飼、単純すぎるだろこれだからアホウだって単細胞だって伊神にバカにされんだよ。
ひたすらオレンジジュースを飲みながらひたすら黙って心の中でツッコミ続けること数十分。あほうな犬飼は水に溶けた氷のように楽しげに生徒会や女子とボーリングしていた。なにあれ順応性ありすぎる、あいつ友達多いけどこれ見てると納得するわ。

伊神も元々生徒会と仲がいいみたいだし、なんか俺がどうしていいかわかんない。
オレンジジュース三本目を飲みきってしまう勢いで時間だけ過ぎる。


「真崎君、となり、いい?」


またあの黒髪の子が話しかけてきて、少し驚いた。
いいよと笑うと、はにかんで返すその子の手にはメモ用紙とペン。何を書き留めたいのか気にはなったけど、そのうちわかるだろうし良いや。


「あのね、さっそく何だけどさっき『会長』って…」

「ああ宇佐見会長?あれ、白雪の生徒会長宇佐見賢一郎」

「あ…白雪って、略してるの?」

「俺はね」


宇佐見会長に飛びついてる犬飼を見ながら、先輩にあたる人なのにと少しハラハラする。



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