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 無題(12/13)







住んでも構わない、とはいえ魔王様に挨拶しに行かなきゃいけないらしい。


なんか居辛いなあ。
目玉だけの飛行物体が何匹も廊下のうえを飛び交って、窓から陽が全くさしてない廊下に何本ものロウソク。蜘蛛の巣が角という角すべてにかかっていて、いかにも、な魔のダンジョンである。

着地した廊下は、石ばかりでゴツゴツして今にも崩れそうだったけど。もう一つ中に入ると意外と綺麗な洋館だった。


「魔王様」


ごんごんと重たいノックをして、返事も待たずに扉をひらく。

俺を降ろしてからにしろよと思ったけど、まあもういいや。ケツからのご対面ですが魔王様どうかご無礼をお許しください。


「おかえり、今回の脱獄はちょっと遅かったんじゃない?」


すこし高い掠れた声で、出迎えてくれる。


「るせ。向こうも知恵をつけてきたんだよ」


俺をおろしながらフィンクスはそう言ったが、魔王様?は可笑しそうに笑った。


「知恵の無い奴に知恵を使うなんて、無駄な労力だね」

「てめえも爆発させてやろうか。つか、魔王様はどこだよ」


あ、今話してるのは魔王様じゃないのか。


「魔王様ならでかけたまま帰ってこないよ。なに、ペット飼うの?」


それ。と指した美少年は、首もとで切り揃えてある綺麗な銀色の髪を揺らす。

ペットですかペット。さすが魔族いうことが違う、そして目の色も銀色とか格好良い。
呆然と美少年を眺めていたら、フィンクスに頭をがしいと掴まれる。
治ってるけどそこ傷があった場所だから気を使ってくれ、古傷が痛むとはこういうことだろうか。違うか。


「まあそれで良い、他の奴らにも伝えとけ。手を出すなって」

「はいはい」


いくぞ。
そう言ってその部屋からでるフィンクスに、つられるように部屋を後にする。

出る間際にちらっと美少年をみると手を振っていたから、俺も何となく頭を下げておいた。
気だるい身体に鞭打ちするようにして、フィンクスの後ろを黙々と歩く。まるで漫画に出てきそうな逆三角形な筋肉、黒いぴったりした服を着てるから男らしいスタイルの良さが目立っている。悪魔…とかそんなのかな?羽がそれっぽかった。


「この部屋を使え」



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