無題(7/13)
「おまえそのプリュレどうしたんじゃ」
「村の子に貰った」
手のひらサイズのプレリュを袋いっぱいに抱える俺に、ロビンは不審そうな顔をした。
まあ子供に買える物でも量でもない、だって買ったのではなく手品みたいに急にだしたから。ぽんって感じに簡単に手に入るなんて、ほんとにあの子はなんだったんだろう。
「まさか城の奴からじゃないだろうな」
「違うと思うけど…」
とゆうか、城の人たちは俺のことなんてとっくに忘れてそう。
あれから数ヶ月もたったんだぞ。そろそろ勇者も魔王を倒しに行ってる頃だとか子供たちが言ってた。
プレリュを一口頬張る。
「いや、アスラン王子はあれで抜け目のない奴じゃ。お前がここに住むようになってからも監視は毎日送って来てる」
「ストーカーされてたなんてまさかの」
「鳥の一件から何度かあいつの部下に、お前の治癒能力についてもきかれておる」
「なんて答えたの」
「あの鳥は珍しい」
「ん?」
「あの鳥は普通の人間がペットにするにはすこし扱いづらいものだと言っておいた」
「それ質問に答えてないね」
城の遣いもきっと俺のようにん?って顔してたと思う。
プレリュの五個目でそろそろおなかいっぱいだなと袋を置くと、ロビンは袋からプレリュ取り出して一口食べた。
「あ、人に物貰う時は一言いうんだよ」
「ください」
「素直」
素直過ぎてロビンじゃない人かと疑う。
まあ疑ったところでどうするでもないけどな、とロビンを真似てプレリュを齧る。
美味しいものでも、お腹いっぱいだとなんか麻痺してくる。これは美味しいのか?でも食べたい、でもこれ以上食べたら吐きそう。
晩御飯への想いを馳せながら最後の一口をなんとか口にねじ込んで、水をのみに台所へいく。
コップに水を汲みながらふと、外を見ると向こうの空は淀んで黒かった。たしか、あそこからはもう魔王の住処らしい。
空気からして禍々しいというか、暗いな。でもあそこに陽気な魔王がおてんば悪魔達と戯れてるって落ちだろ。あれ?それじゃギャグか。
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