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ねえ、ねえねえ!

ある朝、そんな内容のLINEと着信が何通かきていて、ありすちゃんからだと思いきや助さんからだった。

寝惚け眼でロックを解除すると、寝てた。とだけ返す。

しばらくベッドに伏せっていたが、とりあえず歯磨きをしに起きた。
個人的に教えたLINEはありすちゃんとカイドウだけ。カイドウに招待されたLINEのグループになんとなしに入ったら、助さんととみりさん、ほかゲーム内でのカイドウグルの奴らがいて。何人からか友達申請がきたがアイコンは実家のペットだし、名前もわかりにくくYとしか書いてないからまあいいか。と。


《ありす来るんだって!》


助さんいつ寝てんの?ってくらい早く返信がきて、さらに内容にも驚いた。


《オフ会?》

《そう、やばくない?ゆゆも来るしかねーだろ》

《www》


誤魔化す時につかう、笑いの意味のダブリューを連打する。

行くわけないだろうが。
お前らがくるから本当は休みのその日は、出勤だ。


《いや〜ありす来るとはテンションあがるなw》


ありすちゃん……。

意見がコロコロ変わる奴ではあるが、こんなことってあるか?
やり取りを一旦止めて、ありすちゃんのLINEにオフ会行くことにしたの?と書こうとして、悩む。

まあ、夜会ったときでもいいか。

途中まで打ち込んだ文章を消して、出勤準備をする。
朝ごはんのパンを焼くだけ焼いて、時計を見た。もう10時になる。







カフェとバーの境目の時間に、カイドウは店を貸し切るらしい。

それをきくと、二件目も当たり前のように行くのだろう。さっさと満腹になって、海鮮居酒屋にでも行ってくれ。
文句を並べながら店内の花小鉢に水をあたえていると、店の前をうろうろする影。ちいさい男の子が目に入る。

今日も食べにきてくれたのだろうか。

しばらく水やりするふりして、スマホを構いだした男の子を見てたけど入る様子はない。
それより、いつも一緒な兄かお父さんかわからない成人男性はどうしたんだろう?

カラン、気になって店の外に出る。


「あ……」


太陽光に照らされた幼い艶のある前髪がさらり、その間からのぞく大きな瞳がこちらを見る。

小学何年くらいだろうか、低学年だと思うのだが。


「いらっしゃいませ?」

「え、と…まだパパ、お仕事抜けられなくて」


なんとパパだった!

日頃の疑問が解決してつい笑顔になる。
にしても、仕事抜けてまでお昼一緒に食べてるってこと?過保護すぎないか。


「立って待っとくのもなんですし、入って待ちますか?」

「え…」


すこし何か考えるように視線を落として、首を振る。


「迷惑かけちゃだめだから…」


そういうと、本当に歳にしては大人びた返しでお礼を言われた。
こどもってこんなもんだっけ?ほんと、この子って、この子とあのパパって、疑問製造機。ぽんぽんポン菓子みたいに新しい疑問を膨らましやがる。


「わあ…っ!」

「うちに来てくれるなら、迷惑じゃないから」


ちいさな体を、悪戯に持ち上げてみた。

水やり用の霧吹きを置いて、その子を抱っこすると軽すぎて驚いた。小柄だというのもあるけど、腹回りの肉もそんなついてなくてガリガリ。
戸惑ったようにスマホを抱きしめて、片手をバランス崩さないようにおれの肩に置いているが。倒れないように背中に手を回す。


「さぁ〜いらっしゃいませー」

「えっ、えっ…あ…あの…」


カラン、軽快な音で来店を共にする。

あせったその子の名前、そう言えば知らないなあ。
聞いてもいいものか悩んだけど、とりあえずおろしてよく座る席にすわらせる。


「おい西野、お前なに捕まえて来てんだ」


叔父が誘拐は犯罪だぞ?と冗談めかしてホールに顔をだす。


「店の前でお父さん待ってるから誘拐しちゃった」

「あーあ、警察に電話しよ」

「ショタコンでは無いです、って言い張るね」

「冤罪だといいなあ」

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