zzz-s | ナノ
『ねぇ、柳生くん』
「どうしたんですか?」
『雅治から私のこと、何か聞いてたりする?』
「えっ?何かとおっしゃいますと?」
『いや・・・その・・・私のことを、その・・・』
「?」
『っ・・・私のこと好きとかそういうことっ』
「えっと・・・、聞いたことはありませんが・・・」
『・・・そっか』
「・・・あの、何か・・・あったんですか?」
『ううん・・・そうじゃないの、その・・・逆にね』

『何もないの』

「何も、ですか?」
『うん・・・私たち付き合って2ヶ月ぐらいでしょう?でも・・・』
「仁王くんがまだ手を出していないなんてっ」
『っ・・・』
「あっ・・・その・・・すみません」
『気にしないで・・・事実だもん、私と付き合う前の雅治のこと考えたらそうだよ』
「・・・でも逆に#苗字#さんのことが大切だってことではないんですか?」
『私も最初はそうなのかなって思ったよ・・・でも、でもデートもしたことないし、話すことだってあんまりないんだよっ』
「・・・それはっ」
『もうっ・・・私、雅治が分からく、て・・・ひっく、私って雅治の、なん・・・な、の・・・?』
「・・・#苗字#さん」
『もう・・・私のこと、好きじゃないの・・・かな?』
「・・・」
『こんなにっ・・・想ってるの、は私だけ・・・なの?』
「・・・っ」


「どういうことですか!!」
「どうしたんじゃ?」
「どうしたもこうしたもないですよ!!なんなんですか、あなたは!!」
「・・・意味が分からんぜよ」
「・・・#苗字#さんのことです」
「名前?」
「・・・あなた、#苗字#さんと交際しているんですよね」
「・・・なんじゃ、お前さんが恋愛に口出してくるなんて初めてじゃのう」
「はぐらかさないでください!!どうなんですか!!」
「・・・付き合ってる」
「なら、何故それらしいことをしないんです!?」
「それらしいことって・・・セックスか?」
「っ・・・デートとかそういうことです!!!・・・#苗字#さん、泣いてましたよ」
「・・・」
「ずっと、我慢しています・・・あなたとの関係に不安を抱いています」
「・・・そうか」
「そうかじゃありません!!!あなた、#苗字#さんのことが好きなんでしょう?なぜっ」

「なぁ、柳生・・・」
「っ・・・なんですか」
「名前はいい奴じゃろ?」
「はぁ・・・そう思いますけど」
「優しくて、あったかくて・・・俺にはもったいないぐらいのいい女じゃき」
「・・・仁王くん、」
「それでも・・・好きなんじゃ」
「・・・」
「好きで、好きで・・・どうしたらええのか自分でも分からん」
「ちぃとでも触れたら壊してしまいそうなんじゃ、汚してしまいそうなんじゃっ」
「名前に汚い俺を知られて・・・嫌われるんが怖いんじゃっ・・・」
「・・・あなたは本当に、不器用ですね」
「私は恋愛はよくわかりません、ですがひとつだけ言えることがあります」
「#苗字#さんはあなたのことをあなたと同様に想っています」
「っ・・・」
「好き合っているのだから壊すとか、汚すとかないんじゃないいですか?」
「どうしようもないあなたを#苗字#さんは受け止めてくれると思いますよ?」
「・・・」
「仁王くん」
「・・・名前のとこに行ってくる」
「ふふ、頑張ってください」
「柳生・・・ありがとさん」
「はい」



「名前っ」
『まさ、は・・・るっ・・・』


ぎゅっ・・・


「すまんっ」
「俺はお前のことが好きじゃ・・・好きすぎて、自分が自分でなくなるようでっ」

「怖かったんじゃっ・・・」

『・・・ほんと?』
『・・・私のこと、好きって・・・ほん、と?』
「好きじゃ、名前のことが好きじゃっ」
「過去の俺のこと、知ってるじゃろ?・・・そんな俺が名前に触れたら名前を汚してしまうって思って」
『ばかっ!!』
「っ・・・」
『雅治は綺麗だよ、優しい、よっ・・・』
「名前っ・・・」
『私は雅治が好きなの、過去もひっくるめての雅治が・・・好き、なのっ!!』
「名前、名前っ・・・名前っ!!」
『雅治・・・好き、大好き』
「俺もじゃっ・・・なぁ、もっときつく抱きしめてもよか?」
『うん』
「キスしてもええかのぅ」
『もう、そういうことは聞かないでよっ』
「嬉しいんじゃよ・・・名前、」
『ん?』

「愛してる」








第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -