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『オサムー』
「なんやねん、今オサムちゃん特製たこ焼き作って、って・・・どないしたん?」
『んー、オサムちゃん切れ』

そう言って背中にへばりついてくる名前
なんや声に元気がない

「・・・仕事、大変なんか?」
『ちょっと、ね』
「・・・そか」

あまり自分の事を話したがらん奴やから
俺がちゃんと見とかなあかんのに
名前は自分より俺の事ばっか気にする

ほんま自分の甲斐性の無さに苛立った

世界で一番大切なんに

「なー、」
『ん?』
「仕事、止めへん?」
『えっ・・・?』

もっと一緒に居れたら
少しでも名前の肩の重みに気づけると思うねん
そしたら、そんな重み俺がすぐとっぱらったる

「仕事止めて、美味しい味噌汁用意して俺の帰り待っててや」
『っ・・・それって、』

突発的ちゃう
前から思うてたんや
俺もお前もええ年やし

俺は名前以外ありえへんと思うてる

どうしようもなく好きなんや

やから

「結婚せぇ、へんか?」

ぎゅっと俺のシャツを掴む手に力が籠もるんを感じて
俺も柄にもなく緊張して手を震わした

『私なんかで、ええの?』
「お前じゃなきゃあかん」

振り向いて名前を見つめた
頬を静かに涙が流れていて
化粧が少し崩れとるのに

どうしようもなく

可愛くて、綺麗やった


『よろしくお願いします』


答えと同時に、俺は名前を抱きしめた






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