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鈍い、鈍い言われてた私でも

知ってしまった
気づいてしまった

私は蔵が・・・


『ひっく・・・うう・・・』

青空が広がる屋上で
一人小さく泣いてる私

泣いてる理由が
自分でも分かって

更に涙が溢れた

『こんなん、忘れられる・・・はず、ない、やんけっ』


「なにが?」


『!?』
「なに、泣いてるん?」
『な、泣いてへんわっ・・・あほ!!』
「いーや、泣いてたわ」
『蔵こそ・・・なにしにきたん?』
「うーん、一人泣いてる姫さんを慰めたろう思って」
『っ・・・もう止めてや!!』

『からかうん、止めてや・・・』

好きでもないくせにキスして
思わせぶりな態度とって
気づきたく無かった気持ちに気づかされて

『蔵は楽しいかもしれへん、けど・・・私はっ・・・』


蔵が好きやから、辛いよ


「・・・あほ」
『っ・・・』
「ほんま、あほやな名前は」

ぎゅっと
体が包まれたと同時に
蔵の優しい声が頭上で響いた

「からかってなんかないわ」
「俺、お前のこと・・・ずっと好きやってんで?」
『う、嘘やっ』
「ほんま」
「やから、お前がモテるん知っとっても告られた話とか聞いて気持ち、止められへんかったんや」
『また・・・からかってるんちゃう?』
「ちゃう・・・ほんまに名前のことが好きなんや」

私の体を抱きしめる腕に力が加わる
蔵の心臓の高鳴りも聞こえる

『わた、しも・・・すき・・・』


好き
キスされた時もほんとは
嫌じゃ無かった

「ほんまか?」
『・・・うん』

蔵の背中に手を伸ばす
私より大きく広い男の、背中にどきどきした

「なー・・・キス、してええ?」
『えっ?』
「ええか?」
『うん・・・』

ゆっくり瞼を下ろす
静かに触れた蔵の唇はやっぱり柔らかくて
だけどこの前のキスより
甘かった








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