zzz-s | ナノ
痛い、痛い

それに気持ち悪い、だるい

頭の中がぐちゃぐちゃして

大嫌いな自分が顔を出す


『・・・』
「名前、どないしたん?」
『・・・ちょっと』
「具合悪いんか?」
『・・・ん』
「・・・ほんま、平気か?」

蔵の部屋に久しぶりに遊びに来たんに
アノ日と被った
蔵が心配して喋りかけてくれとるのに
それに答えるのも億劫で
いつもはそんな些細なことでも嬉しくてしゃーないのに
ほんま都合のええ自分に苛立った

「名前?」

そんな私の気持ちを感じとったのか蔵が不安そうに名前を呼ぶ
私の大好きな声で

なのに今の私には逆効果

『ちょい、黙っといて!!!』

苛立ちに拍車がかかり
何も悪くない蔵に当たってしまった

『あっ・・・ごめんっ・・・私、帰るわ』

最悪
ほんま自分、最悪や

これ以上、蔵に嫌な思いさせとうない
こないな嫌な自分、大好きな蔵に見せとうなくて
私はふらふらしながら立ち上がる
下半身に力を入ると激痛が襲った

「名前!!」

同時に目の前が真っ暗になった
気がつくと私は蔵の腕の中にいて

『・・・く、ら?』
「危ないやろ、ほら横になり」

私の体を抱き上げベットに運ぶ

『蔵、私家に・・・』
「こないな弱った彼女ほっとけるか、あほ」
『っ・・・』
「それにお前の事やから苛立つ自分に自己嫌悪でも陥っとるんやろ?」
『うっ・・・』
「そんなん気にすんなや、どんなお前でも俺は好きなんやから」
『くらぁ・・・』

蔵の優しさに視界が揺れた
今度は眩暈とかそういんや無くて
痛みでも無くて、涙が溢れた


「・・・生理、か」
『・・・薬とか飲むんやけど効かなくて』

全部、話した
少し不安やったけど

「そかぁ・・・辛かったな」
『っ・・・』
「俺は男やから分からんけど、姉ちゃんとか苦しんでるの見とるから」
『・・・くら、』
「なぁ、お腹さすってもええか?」
『・・・うん』
蔵の手が私のお腹をさする
私よりも大きな手から伝わる温もりは
優しくて、気持ちが良くて
ゆっくりとだが痛みを消していった

『蔵、さっきはごめんね』
「気にせんでええって」
『でも・・・』
「言うたやろ?どんな名前も好きや」
『・・・ありがと』
「それにな、」
「逆に嬉しかったんや」
『えっ』
「名前は優しくて、どんなに俺の部活忙しゅうても文句の一つも言わん」
「それがなんだか不安やったんや、ほんまは俺なんかどーでもええんやないかって」
『そんなことっ』
「ちゃうんは分かってる・・・だからさっきみたいに自分の気持ちを出してくれてほんまに嬉しかった」

そう言いながら微笑む蔵は少し照れくさそうで
私もつられて笑うてしまった

『あんなー、蔵が忙しくて会えへん時とか少しは寂しいよ・・・けど、私はテニスが好きな蔵も好きなんや、テニスに真剣に取り組む、頑張る蔵に惚れたんや、やから・・・言葉がちゃうかもだけど、我慢出来る』
「名前・・・ほんま、好きや」
『私も蔵が好き、大好き』

見つめ合うた私たちはキスをした
優しいそれは
くすぐったくて、だけどずっとしていたいような
甘いものやった

「ほな、少し寝ーや」
『いやや』
「辛いやろ?」
『蔵も一緒に寝よ?』
「っ・・・ほんまに名前にはかなわんわ」
「じゃあ、お言葉に甘えて」


毎月、この日が来なければええとずっと思ってた
痛くて、辛くて
やけど
少しだけ、待ち遠しいと思う
それも大好きな人が、蔵がいてくれるからだけどね







「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -