epilogue | ナノ



どれほど時が経ったでしょう。年か、月か、日か、それは誰にもわかりません。男はひっそりと、ただ一人でじっと待ち続けていました。
(待っていろ)
そう言った神様の言葉を信じて、男はずっと待っていたのでした。もちろん男の周りには否定するものもいます。けれど、男はいつまでも待っていました。
「おい」
「はい?」
ある日のことです。声をかけられ後ろを振り向くと、そこにはあの日と変わらない神様が立っていました。
「神様?」
「お前は、本当に待っていたのだな」
「神様がそうおっしゃったのではないですか」
神様は驚きました。そして、一つの答えを導き出します。神様は小さく微笑み、胸に広がる暖かさをゆっくりと噛み締めました。
「見つからなかった」
「…はい」
「けれど、在り処だけはわかった」
「それは…?」
「お前は、もう」
男が待ち続けたことが何よりの答えだと、神様は静かに目を閉じました。