君は何処へ | ナノ


ついに本当の終わりが来たと、うすれゆく意識の中で思った。火山に落ちても地殻に落ちても死ぬことは許されなかったのに、こんな作り物にすぎないちっぽけな庭で死ぬことが許されるなら最初から死なせてくれればよかったのになんて、今更言っても仕方ない。とりあえず、これが僕に与えられた最期の形なのだから。
一番始めに消えたのはあのノロマだった。決闘を挑んで無惨にも負けて死んだらしいけれど、あいつが守りたかったイオンは皮肉なことにどちらも消えてしまった。誰にも望まれなかったイオンは今からシンクとして消えていく。


「馬鹿な女…」


最期の最期にあいつの事なんかを考えている自分も自分だけれど、死んでもなお報われることのないアリエッタは一体何処に行ったのだろう。
意識が途切れる瞬間、あの柔らかい声を聞いた気がした。




――――――
シンクはやさしい