横になって目を閉じても眠ることができず、少し夜風にあたろうと誰も起こさないように部屋を出た。きっとユーリは気付いていたけど、わかっているから何も言わなかったのだろう。街を出て静かな草原を歩くと、心が落ち着いていく。昼間の戦闘から昂りが治まらずどうしたものかと思っていたが、一人で力を抜けばこうも簡単に緊張は緩む。しばらくその場にとどまって、そろそろ帰ろうかと後ろを振り返るとそこには見覚えのある姿。 「ジュディス」 「あら、フレン」 月明かりに照らされた金色の髪が、凪いだ風にきらきらと揺れている。どうしてこんな所にいるのだろう。彼とは今日は別行動だったから、今この場に彼がいる理由がわからない。 「たまたま同じ街にいて、見回りをしていたら君の姿が見えたから追ってきたんだ」 騎士として、街の平和を守るのは当然のことだと以前言っていたのを思い出す。それなら外に出た私を見つけてもおかしくはないし、夜中に街を出ようとする人がいたら声をかけるだろう。けれど、私はその対象にあてはまらない。 「私なら大丈夫よ。だって私、強いもの」 「ああ、それは知っている」 「別によかったのに」 「それでも、女性には変わりないだろう?」 はやく帰ろうと手を差し出すフレンに、戸惑う私がそれを取るか取るまいか迷っている間に無理矢理絡めとられた手のひらがいやに熱く感じる。 「…結構強引なのね」 「褒め言葉として受け取っておくよ」 ――――――― |