「『期間限定!ふわふわ☆クリームたっぷりチョコチップめろんぱん』とやらを買ってきたでござる!」 「阿呆」 本当に頭に脳みそが詰まっているのかどうか疑いたくなるくらい、弁丸には学習という能力が備わっていなかった。牛乳を買いに行けと言っても袋の中にはかりんとうが入っているし、にんじんを買いに行けと言ってもじゃがいもを買ってくる。もう自分で行った方が早いのではと思うが、毛利はそれでも諦めず弁丸におつかいを頼み続けるのだ。俺ならとっくに止めているというのに。 「我は貴様のように甘やかしたりはせぬからな」 「へいへい」 実際、誰よりも弁丸を甘やかしているのは毛利なのだ。おつかいを頼み違うものを買ってきても、毛利はそれを本気で怒ることができない。買ってきたかりんとうはそのままおやつになったし、じゃがいもはにんじん抜きの大量にいもばかりが入った肉じゃがになった。結局、この『期間限定!ふわふわ☆クリームたっぷりチョコチップめろんぱん』だって明日のおやつになるに決まってる。 「もとちかどの!今日の夕餉はなんでござろうか!」 「今日は…肉なしのカレーだな」 「おお!それがし、カレーだいすきでござる!」 「そうか、よかったな」 食後には団子があること知ると目を輝かせる弁丸はまるで天使のようだ。その顔を見ると俺も怒る気が失せてしまう。結局は俺も、毛利と同じように弁丸を甘やかしまくっているのだった。 ─────── いい肉の日だからって、 牛肉なんてまだ早かったのよ |