「…出掛けるか」 なんとなく今日は外を歩きたいと思った。仕事じゃない限り家からほとんど出ない俺が外にでようと誘うのがそんなに珍しいのか、お妙が目を丸くして畳んでいた洗濯物を膝に落とした。その反応を見る限り本当に驚いていることがわかる。なんだか恥ずかしくなってきた。 「どうしたんですか、急に」 「別に行かなくてもいいんだぞ」 「行きますよ、折角誘ってくれたんですもの」 「…じゃあ、はやく支度しろよ」 女の準備は長いから好きじゃないけど、今回ばかりは自分から誘ったんだから仕方ない。とっくに読み終わったジャンプをてきとうに捲りながらお妙を待った。行く先はもう決めてある。まったく俺はどうしたんだか。 「お待たせしました」 「じゃ、いくか」 「はい」 右手を掴んで外に出た。恥ずかしいからお妙のほうは見ない。無言のまましばらく歩いて目的地に着いた。目の前にはかわいらしい雑貨屋。まさかこんな場所にくるとは思わなかったのだろう、何も言わなくてもお妙が驚いているのが伝わってきた。 「銀さん…?」 「お前、髪留め壊れたんだろ。お気に入りのやつ」 「知ってたんですか?」 「…まあ」 「ふふ、ありがとうございます」 柄にもないことをしてしまったが、嬉しそうに微笑んだお妙を見てそれでもいいかと思った。たまには外に出てみるもんだ。 ─────── ひさしぶりで口調が わからない |