ハルが泣き喚く度にうんざりする自分がいた。黙れ、と言うと体を震わせて静かになるハルが滑稽で仕方なかった。時たま、お前は本当にハルを愛しているのか?と聞かれる事があったが、僕はハルを愛している。いくら他の女の元へ行ったとしても、ハルを思いきりぶったとしても、僕はハルを愛している。 「…骸、さ」 「どうしました?」 「…あ、やっぱりいいです」 「……」 僕と目を合わせると必ず視線を反らす、僕と話をするたびに怯えてうまくしゃべれない、僕の前では笑わない。ハルの嫌いなところ。それにいらついて、僕はまたハルに酷くしてしまう。 「言いなさい」 「あ、や、骸さん…!」 「ハル」 「くる、し…あ」 すぐに言えばいいものを、ハルは頑なに口を開こうとはしない。目尻に涙が溜まっていくのが見える。それを僕は綺麗だと思ったし、またそれを欲しいとも思った。 そろそろいいかと腕を離すと、ハルはその場に崩れ落ちた。抱き抱えると、虚ろな目をしたハル。気を失う事は薄々気がついていた。涙が流れた瞬間、ハルの口が動いたのが見えたが、何を言ったかはわからなかった。何故だかむなしい気持ちに襲われた僕は、ハルを抱いたままその場に横たわってそっと目を閉じる。見えたのは笑顔のハルで、その隣には僕がいた。 僕は、ハルを愛している。 ────── おめでとう。 祝う気はあります。 title:はくせい |