不機嫌なロリポップ | ナノ


いつまでもふらふらしている奴に嫌気がさした。自分はいいのかこのたらし野郎とビンタしてやりたかったがそんなことをする余裕すらなかった私にも嫌気がさす。家に帰って髪をおろして、服を脱いだ。まだ出かけてから一時間ほどしかたっていないのにもう帰宅。お早い帰宅ですね、いえいえ。まったく馬鹿馬鹿しい。全裸のまま部屋をでて、バスルーム。ただのお風呂だけれど、わたしだってこんな気分になるときくらいある。お姫さまになりたい。男がみんな振り返るような美貌を持った、優しくて素直なやわらかい女の子。


「あわあわ…」



今の気分とは真逆の真っ白くてふわふわな泡。いつもはなにもいれないけど今日くらいは、さ。手ですくってふうっと息をかけるとかかった部分だけが抉れてあとはそのまま。飛んでいった泡は浴槽へ出戻り。おかえりなさい、ただいまただいま。しばらく泡を弄くって出る。体にねっとりとついている泡をシャワーで落として上げていた髪をばさっ。おろした。伸びた、切ろうかしら?…少し考えて、やめた。だってあいつがきれいってゆうからさ。いくら嫌気がさしても頭から離れてくれないあいつは、わたしの恋人だ。





軽くタオルで水気をすいとって部屋に戻ると、携帯がちかちか。ぴんく色のらんぷ。メールと電話、開かなくてもわかった。忘れていたけど、私は怒っているのであった。デート、デート。待ち合わせで彼氏がナンパ。笑えてきた。ようするに嫉妬したのであった。少なからず私は女の子で、あいつが好きだってことがわかった小さな小さな一方的なけんか。返事はしなかった。お仕置きです。明日になったら電話して、こういうのだよ。
わたしだけをみて。
きゅるん。

なーんて。



あしたまではわたしでいっぱいになってしまえ






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志摩さんはちゃんと
出雲ちゃんがすきですぞ
実際はツンデレなので「わたしだけ〜」は言えない


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