ぽっかりと穴が開いたのはいつだったか、寒い寒い白の中で突然赤が咲いたのだけだけは覚えている。赤のほかには紫と緑、それと、きらきら光る銀色の刃。その瞬間に穴が開いたのだ。きっともう二度と塞がらないであろう。物理的な穴か?いやそれよりも質がわるいに決まっている。初夏に差し掛かったというのに。いまだに閉じる兆しを示さない、空間。いつもは知らないふり、それが夜になるとできなくなる、毎夜、毎夜毎夜毎夜。消えることのない夜。あの夜。崩壊する夜。気づいたら目を覚ますのであった。いつ閉じたかはわからない、毎夜。いつも同じ夢をみる、毎夜。赤が散る夜に、散った夜。どちらが苦しいか?否、苦しいことなど毛頭ない。ただ自分に穴が開いた、ただそれだけのこと。 「…最期くらい、聞いてやろう」 「元就」 「なんだ」 「 してる」 赤が散った瞬間、夜の瞬間。 我が殺したのであった ───── 親就 |