家についてすぐ寝室に連れ込まれた。そのままベッドに押し倒され、抵抗する暇もなく唇を塞がれる。ものすごい力で押さえ込まれてはどうしようもない。悔しいことに俺はあまり体格がよくない。それに比べて水谷はへらへらしてる割に男らしくてむかつく。身動きがとれないのでされるがままにしていると、水谷はやっと唇を離した。外の明かりが入ってくるおかげで、電気の着いていないこの部屋でも水谷の表情は確認できた。 「なんだよ、急に」 「…だめなの?」 「…おまえ、何怒ってんの?」 長い間一緒にいれば、表情だけで考えていることくらいそれなりにわかる。今の水谷は怒っていた。いつもは俺ばかり機嫌を悪くするから、水谷が怒るなんてめったにない。 「どうしたんだよ」 「何もない」 「うそつけ」 「うそじゃない」 少しだけやりとりして、ああ駄目だと悟る。こうなったときの水谷はどうしようもないのだ。こうなったとき、水谷は決まって同じ行動にでる。今までも何回かこんなことがあった。そんな時は確か。そういえば今日は飲み会の日だったなあ。食って、少し酒を飲んで、喋って、笑って。その時水谷は俺の側にいなかった。 「やきもち」 「…う」 「嫉妬したの、おまえ」 「だって泉、他のやつに抱きつくから」 「…飲んでたんだからしょーがないだろ」 「しょうがないじゃ済ませない」 もう一度水谷は俺の唇に噛みついた。今夜は寝かせてもらえるだろうか。 title;彼女 |