墓前 | ナノ


死んでます




お久しぶりです、元気でしたか?なんて、死んだ人にこんなことを聞くのはおかしいでしょうか。あれからもう2年がたちますが、時の流れというものは本当に早いですね。気付けば私の髪も胸の辺りまで伸びてきています。そちらはどうですか?おいしい御飯はありますか?それとも、やはりあなたが作っているのでしょうか。私にはそれを知る術がないので存じ上げませんが、あなたの腕は確かなのであっちでも自信を持っていいと思います。あなたは明るくて思いやりのある方なので、きっと友達はすぐにできたでしょうから、特に心配はしていません。そちらでもなんとかやっていることでしょう。さて、そろそろ本題に入りますね。あと二月ばかりしたら、私、結婚するんですよ。驚いたでしょう?あなたがいなくなってからどうしようかと思いましたが、私もなんとかここまでこれました。それもこれも、あの人のおかげなんです。あなたが悪いんですからね。私との約束を果たさなかったから。だから私は、他の人と約束を果たすことにします。怒ったって嫉妬したって、知りませんよ。先に約束を破ったのはあなたなんですから。その代わりに、また約束してもらいますね。私がそちらへゆくであろう頃に、迎えに来てください。拒否権はないですからね。ちゃんと最後まで責任をとって、私との約束を守りなさい。そうしたら、許してあげますから。そちらでしあわせにしてくれるのなら、許してあげますから。ああ、そろそろこちらでの迎えが来ます。次に会えるのはいつになるでしょうか。いつまでも、待っていてくださいね。他の人のもとへなんて、許しませんよ。私はいいんです。だって、あなたがしあわせにしてくれなかったんだから。それくらいいいでしょう。私がそちらへいったら、また私をあいしてくださいね。


そのときまで、また。