掃溜 | ナノ



▽カロル





あの頃はただ今だけを必死に生きていた。これから先のことを見据えていても、これから「ずっと」先のことなんて考えてすらいなかった。変わるものなんてない、そう思っていたから。あの災厄が倒れてから5年が経っても、人々はまだ完全に立ち直れていない。それでもなんとか立ち上がろうと、ひたすら前だけをみていた。あの物語を最初から最後まで見届けた者として、僕たちは自分たちにできることをしようと、そう決めた。