掃溜 | ナノ



▽リオン





水に呑まれたあともぼんやりと意識はあった。苦しくなかったのは覚悟を決めたからだろう、なんだか不思議な感覚だった。体から力が抜けていくのがわかったが、シャルだけは意地でも手離さなかった。せめて意識がなくなる前まで、僕がいなくなるまではそばにいてほしかったから。おぼつかない頭で考えるのは、シャルと仲間とマリアンのこと。マリアンはきっと生きている。僕の願望かもしれない、けど、やっぱり生きている気がするのだ。スタンたちに任せれば大丈夫だろう。そういえば、ルーティに真実を告げたときのあの顔は、初めてみるものだった。それはそうだろう、たかだか数ヵ月一緒に旅しただけの、その前までは血が繋がっているとはいえ他人としか言い様のない相手だったのだから。ああ、せめて一度でいいから呼べばよかったかな。ねえさん、ってさ


僕がさいごに見たのは、コアクリスタルの綺麗な光。