日吉と海 | ナノ




夜の海は綺麗だ。砂浜に座り込むわたしたち以外にも、ちらほら人の姿は伺える。昼間の賑わう砂浜もいいけど、今のような静かできらきらしている綺麗な砂浜も好き。この静かな空間に波の音がとても心地好い。本当に綺麗だ。

「ね、あの星だけなんですっごく光ってるんだろ?」
「ああ、今日先輩が昼間に落としたソフトクリームの怨念が星になったんじゃないですか」
「ロマンチックな雰囲気が見事に台無しだね」
「冗談です」

全く趣味の悪い冗談である。寧ろ冗談なら言わないでほしい。しかし昼間の出来事はわたしが悪いわけではない。いきなり服の中に手をズボッと突っ込まれたら誰だってアイスぐらい落とす。わたしは悪くない。いつもの無表情で「先輩見てたら突っ込みたくなったんです」などとほざいた奴が全て悪いのだ。わたしは悪くない。

「なんかもう色々ときめいて損したんだけど」
「それはすいませんでしたね」
「ときめき代、払ってよね」
「身体でなら払いますよ」
「ごめんやっぱいいわ」

夏はまだ、始まったばかりだ。



***

葉様から相互記念として頂きました!素敵なお話ありがとうございます(>_<)


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -