short | ナノ
※閲覧注意 夢小説ではありません。
どうしようもなくてここ数日、ただただお酒と煙草と性に依存してしまった。もう何でもいいからこの自分から離れたくなった。こんな気持ちから解き放されたかった。
どうしようもない自分が嫌いで、やること為すことが全て報われない気がした。穀潰しの生活だって両親がいるから出来るだけで、実際は甘えてばっかりでいい歳をしてまだ学生という自分を可愛がりたいだけだった。授業もろくに出ずやりたいことをやりたいだけ出来る生活は素晴らしいけど現実は押し潰されそうなほど息苦しいものだった。
久々に会う友人は一歩ずつ社会人に近づいて、久々に出るサークルは知らない顔だらけで吐き気がした。年齢や容姿は似たり寄ったりなのに、どうしてこんなにも馬鹿らしく見えるんだろう。いや、実際浅はかなのは私かもしれないが。
どこにも行く先がなくて、どこにも居場所がない。そんなろくでもない考えをしてしまう自分が嫌だ。そもそも居場所なんて元からあったのかさえ分からない。
友人の突然の告白に躊躇してしまった自分が情けない。ごめん…ごめん…、と謝り続ける彼女を私は抱きしめられない。彼女は私に何を求めていたのか、それだけでも聞いてあげればよかった。私は彼女に何をしてあげればよかったのか、今だによくわからない。
でも実際彼女だってわからないはず。だから私に謝ったんだろう。私は彼女に恋を出来たらよかったのかな?でもそれはそれで辛くてかなしいこと。
せめて私がセクマイだったら彼女の傷みも嘆きも受け止められたのかもしれない。どうして私はストレートなんだろう。そしたらあるいはマイノリティーとしての誇りを支えに彼女との新たな道を見つけられたのかもしれないのに。
どうしようもない、ね。
たった数十年しか生きてないのに何でこんなにも悩んでるんだろう。あ、数十年も生きてるから悩むのか。こんなどうしようもない私を抱く見ず知らずの男も可哀相だね。
こんな時、一人だけ縋りたい人がいる。ユウジは今も昔も変わらず私を見守ってくれる。会おうと思えば今すぐにでも会いに行けるし、電話をすれば必ず出てくれるとも思う。だけど会ったり喋ったりしたところで何一つ報われない。私が泣いて縋りついたって何一つ救われない。
彼も私も彼女も何処か似ているけど似ていない。皆それぞれ違う傷みを持っている。私はユウジにこのことを打ち明ければ何か違った感情が生まれるのかな。彼女とユウジは似ているけど似ていない。だけど数式に表せば似たベクトルかもしれない。だけど、全然違うんだよね。私もユウジも彼女も交わらないんだ、ほんの少しでも。
どうして私は彼女を愛せないんだろう。
どうして彼女は私を愛してしまったのだろう。
どうして私はユウジを愛してしまうんだろう。
どうしてユウジは私を愛せないんだろう。
答えは簡単だよね。だってそう思っちゃうんだもん。ユウジにとって私は性的に愛せないんだろう。いや、むしろ愛せるけど傷みを伴うものなのかな。仮に私とユウジが愛し合えば、もう二度とユウジと会えない気がする。 だけどそれでも私はユウジと愛し合えば、ただその僅かな時間だけでこの先全て救われる気がするよ。
ああ、考えれば考えるほど頭や身体が重くなる。結局のところ、全員が救われる術なんかないんだ。そっかあ…ないのか。それはそれで痛み分けみたいで一種の答えかな。
とりあえずシャワーでも浴びてこの部屋から出よう。そういえばどこだろう此処。お金は横で寝ている男に払ってもらおう。トンズラってやつだね。
どこか遠くへいきたいよ。
堂々巡り (通りゃんせ、通りゃんせ)
20110810
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