日曜日のもうお昼に近いような時間、私はまだベッドでごろごろと惰眠を貪っていた。
その時、滅多に鳴らないインターフォンが鳴った。
あ、こないだアマゾンで注文したやつが届いたのかなあ。
のそのそとベッドから起き上がり、どうせ宅配業者だろうと確認もせずにドアを開けたこと、私はひどく後悔する事になる。

「久しぶりだな」

ドアを開けた私の視界に飛び込んできたのは、昔の恋人である赤井秀一だった。

「しゅ、秀一…?なんでいきなり…」
「たまたま近くに用があってな。…出来れば少し話したかったんだが」

無理みたいだな。
苦笑した秀一の視線を辿れば、彼は玄関に置かれている男物の革靴を見下ろしていた。
あちゃー。私は思わず額に手を当てた。
私が普段履いているパンプスやサンダルとは明らかに雰囲気が違う、私のお給料ではとても買えそうにないお上品で、上質な茶色の革靴。そもそも男物だし。それが意味する事はひとつしかない。

秀一とは数年前に恋愛関係にあって、嫌いになった訳じゃなかったけど色々あって、お互い納得した末にきちんとお別れをした。
だから誰も悪くないんだけど、やっぱり、この状況はなんだか気まずい。

「あの…なんか、ごめん」
「いや、俺の方こそ急にすまなかった。まあ、元気そうで安心しーー」

「名前?誰か来たんですか?」

はっと振り向けば、さっきまで同じようにベッドでごろごろしていた安室さんが立っていた。ああ、これはまずい。私が状況を説明しようと口を開いたその時、彼は今まで聞いた事がない位に驚いた声を上げた。

「あか、い…?」
「安室くん…か?」
「えっ、知り合いなの!?」

呼応するように驚いた声を出す秀一に、私は頭がついていかない。
秀一と安室さんが知り合い?え?なんで?こんな偶然ある?

「お前が、なんでここに!名前、どういう事ですか!?知り合いなんですか!?」
「あの、えっとごめん安室さん、秀一とは昔…」
「付き合っていたんだ」
「ハァ!?秀一!?呼び捨て!?僕の事はまだ名字+さん付けなのに!?」
「ホォー…安室くんはまだそこまで関係を発展させられていないと。そういう事か名前」
「ちょっとやめてよ秀一」
「しかもタメ口!僕にはまだ敬語なのに!あえて親しげな雰囲気を出すのはやめろ赤井!」

「ああ〜ちょっと2人の関係性がよくわかんないけど、安室さん落ち着いてください!悪いけど秀一はもう帰ってくれる!?」
「そうだな。また今度ゆっくり来るとしよう」
「なんで今度があるんだよ!?この状況見たら色々と察するだろ!?」
「うるさい男は嫌われるぞ安室くん。ではまたな」
「2度と来んな!」




2016.07.10
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