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もう冬ですね




はぁ、と息を吐くと白いもやが口から漏れる。
割りとすぐに消えるそれを見ながらだいぶ冬っぽくなったな、なんて考える。
マフラーをもう一度巻き直して、次に来る冷たい風に備える。

その動作をちょうど終えた所で見計らったかのように北風が吹く。
うぅ、寒い。貫太郎め、毎年やってこなくていいものを。


「見つけた!」


ん?
声が聞こえた気がするが、一段と強い風を感じとっさに目を閉じる。

おさまってから目を開けるとそこには緑の衣に身を包んだ同級生がいた。


「リンク!」

「久しぶり、元気だったか?」


にっこりと笑う彼。


「うん元気!しかしリンクは相変わらず緑が似合わないね!!」

「…それさ、笑顔で言うのやめない?結構へこむんだけど。」

「えぇー、」


本当はね、ちゃんと似合ってるんだよ。ただ緑が見慣れないだけで。
だって貴方はつい最近までその服じゃなかったから。
リンクがリンクじゃなくなるみたいに思えて、その服は好きじゃないの。ただそれだけ。


「…ここは変わらなくていいな。」

「えっ?スカイロフトが、ってこと?」

「あぁ。」

「結構変わってると思うんだけどなぁ。」


花々は眠りにつき、空気は冷たい。
この変化に気付かないなんて、お前の目は節穴か。


「季節的な意味合いじゃないからな。」

「あっ、そうなんだ。」


どうやら私が思ってたのと違ったらしい。
じゃぁ何が変わってないんだろうか?


「お前とか、全然変わってないよな。」

「………リンク、そーゆーのは例え嘘であっても可愛くなったな、くらいは言いなさいよ。」

「カワイクナッタナ。」

「何で片言!」


このやりとりがすごく久しぶりに感じる。
口喧嘩がヒートアップするといつもゼルダが止めてくれてたんだよなぁ……、

そのことを思い出して少ししんみりしてると、頭に何か乗せられた。
ポンポン、とあやすように撫でられていることからリンクの手だと思う。


「大丈夫、必ず俺が見つけてくるから。」


どうしてリンクには私の考えてることがわかってしまうんだろう。しかも私が欲しい言葉を彼は的確に与えてくれる。

それが悔しくて悔しくて。
腹いせにちょぴっと足を蹴ってやった。


「いてっ!」

「期待しないて待っててあげる。」


また3人でわいわいするのが今の私の夢なんだからね!



(「なぁ、俺の心配はしてくれないの?」「えっ、リンクって怪我するの!?」「…………。」)

11.11/18 21:22
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