庭球 | ナノ



「やー、なんちゅー格好してるさー!」

「うわ、凛」

「ふらー!スカート短すぎやっしー!」


また凛のお説教が始まった。ここ最近やたらと服装にうるさい。この間なんかデートの時にショーパンはいてっただけで「太もも見せすぎだ」とキレられた。ふらーはどっちだ、夏なんだからショーパンくらいはかせろ!結局その日は買い物に行く予定を取り消して凛の家に行った。凛の部屋にいる時には、あたしがどんなに薄着でいようと何にも言ってこないのに、おかしな奴だ。


「もー!スカートくらい良いじゃないのさ!」

「ふらー!やーは露出狂か!」

「ろ、露出狂!?大げさすぎ!」

「わんは風紀委員やっしー!そんな格好見逃さんどー」

「じゃあ、あたし以外にも注意するべき子はいっぱいいるでしょー!」

「うるさいやー!はやく丈戻すんばー!」


凛がそれはもう煩いので、あたしはしぶしぶスカートをもとの丈に戻した。膝裏に裾が当たる感じが嫌で仕方ない。なんなの、まったく。可愛い格好すれば凛が喜んでくれると思ってやってるのに。第一、凛だっておしゃれな子がタイプだって言ってたじゃんか、凛の言うおしゃれってなんなんでしょうか、自分は金髪ヤンキーみたいな格好してるくせに(まあ、そんな凛が好きなんだけども!)。


「あーあ、凛は彼女が可愛い格好してるのが嬉しくないの?」

「ぬー言ってんばー、やーにそんな格好似合わん」

「失礼な‥」

「んな短くしてっと、通行人にパンツ見られるやー」

「‥パンツくらい見られたってなんとも思わないのに‥」


ブチ、と何かが切れる音が聞こえた気がした。


「名前を他の奴に見られるん、わんが嫌やっしー、いい加減気付けふらー!!!」


は、と気付き凛が口を噤んだ。いやいやもう遅いですし、周りのみんなに聞かれてますし。凛が赤くなっていくのと同時に、あたしの口元はにやけていくばかりだった。


「なあんだ、はっきりそう言ってくれれば良かったのに」

「うるさいやー!」






ずるいから好きです
(これだから君に夢中なの!)



title:確かに恋だった