愛を謳って、声を枯らしましょう
漠然と思った。あの時私は彼に触れたけど、彼から触れられるのは初めてなんだと。
するりと滑るように彼の左手が私の脇腹を撫でる、それが擽ったくて焦れったい。触れた手は思いの外熱くて熱を帯びていた。そこになんの感情もないのに、私達は自然と唇を求めていた。離れて触れるたびに肌の触れ合う音が響く。
「跨って」
彼がそう言うと手を軽く引かれて彼の身体の上に私が上乗りになる、そのまま腰を下ろすように言われて恐る恐る下ろす。彼の眼前に私の女の部分が曝け出さられる、それから彼がいつもより低い声で告げる。その吐息に私は軽く感じてしまう。
「自分で指で広げて、」
「…え、」
早くと急かされて私は震えた手でそこを割る、勘違いしないでほしいのはその震えは恥じらいというよりも彼の視線に侵されて震えているということ。私の中の欲情という感情が溢れ出してしまっている。
熟れて赤みを帯びたそこはきっと彼に見られているという視線で濡れてきているに違いない。
「ひゃっ…」
「なに…そんな声も出んの?」
そう言って嗤う吐息がそこに熱と追い討ちをかける、愛しい彼の声が向こうから聞こえてくる歓びと熱情を孕んだ吐息が其処に触れていると思うと更に欲情に駆られる。
湿った舌で自分で広げた中心を責められる、時に敏感な膜の裏を舐めて、熟れた核を吸って、終いには中を舌で入れられ蹂躙されて、太腿の内側を甘噛みされて、最後に指で嬲って膝が保てなくて嗤うようになると彼も口角を上げてわらって愉しんでいる。
腰を上げて下着をずらすと私の目の前にあの日見た一緒の物が目の前に現れる。一瞬だけ困惑していたけど咄嗟に本能なのか手を伸ばそうとすると彼処を強く啜られる。行き場を失った手は彼のシャツを掴んで皺をつくる。
「…あぁっ、ん」
「…まだ触って良いって言ってないよ?」
そんな意地悪を言う、このタイミングで服を脱いだのだからそれは容認していることに間違いないのに。
息を切らして私は彼の許可が出るまで堪える、身体を震わせて従順に。その間も彼は必要以上に執拗に舐ぶる。その際で止まらない溢れ出す愛液は彼の中に取り込まれていく。その循環が卑猥に思えた。
私はと言うとそそり勃った彼の物が顔の間近にあるのに触れられなくて牴牾しかった。頬に触れてる彼の物は熱くて硬くてもう十分だと言うのに触れさせてもらえない、ある一種の拷問のよう。
その様子を見て彼はようやく身体を起こして私の頭を撫でて耳元で囁く。
「待てをしてる犬みたいで可愛い」って。頭を撫でているのも其のせいなのかもしれない。だけど不覚にもすこし嬉しくて瞳がすこし潤んだことを彼は知らなくて良い。
そんな意地悪を言うのは、彼の本性なの?
好きな子の前じゃ貴方はそんなに意地悪なの?
それとも好きな子の前じゃとても優しくて愛のある行為をするの?
知りたい、聞きたいけど聞けない。
こんなに身体を合わせてるのに私は玉森くんのこと何にも知らないんだね。その比例した事実があまりにも鋭く胸を抉るのでただ虚しくて仕方がなかった。彼に愛されたいと身体全身で愛を叫んでいるというのに。
fin .