小説3 | ナノ

最低な恋をして


はじまりは一冊の本、

家の駅近くにわりと大きな図書館がある。けど殆どと言っていいくらい俺は本に興味もなく立ち寄る機会はなかった。

しかしこの春、本を読まざる得ない状況となった。と言うのは今回有難いことに映画の主演をはれることになった、しかしその役柄がパティシエという役で実際にスイーツ作りもしてもらうと言った無茶難題を押し付けられたのである。不器用な俺に不似合いな役だとは思うがやらざるを得なくこうしてお菓子作りの本を探しにきたのである。デザインも出来れば作りたいものもあれば言ってほしいという強制ではないが、遠回しにしざるを得ない状況へと追い込まれた。

なのでこうして縁のない図書館で料理本を探して検討中なのだ、借りはせずにその場で色んなものを広げてあれこれと探る。というのを一昨年していた。

なぜ今更こんな話をしているのかというと今年もまたやって来たからだ。いわゆる続編というやつである。映画の続編を撮るためにまたこうして文字を読むのすら向いていない俺がこうして齷齪と本を嗜んでいるのである。本音をいうとかなり面倒くさい。


しかも今回は前変、後編とあって撮影スパンが長いときた。俺は果たして来年まで生きているだろうか。

そんなこんなで今年も一昨年同様に料理本を見ていると一冊の本からはらりと何かが落ちた。まるで桜の花びらが落ちるみたいに。

それを俺は屈むのさえ億劫だと嫌悪しながら拾い上げた、そこに書かれていたのはメモだった。

「ゼラチン15gと書いてるけど5gで十分、これ通りに作ったらすごく固くなってしまった」

まるで何か料理ノートにでも貼るかのようなメモだった、それがはらりと落ちて拾い上げて俺の手に収まった。


「…なんだ、これ?」

俺はまだこれが運命だということに気づかなかった。

fin .






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