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僕のものになればいい


「痛っ…」

そう声が聞こえて天気がいいから外でお昼を食べてた時、唐突に彼女のほうから聞こえた。彼女のほうを見ると睫毛が目にはいったといって目をこすろうとしてて咄嗟に両手首をつかんだ。


「駄目だって、こすっちゃっ」

それで彼女の手に触れてることに気づいて慌てて手を離す、それからまだ擦ろうとするので仕方なくまた両手をつかんだ。意識してるのは俺だけなんだろうなあって悲しく思いながらその細い腕を優しくつかんだ。


「…だって痛いっ」
「でも駄目だって、こするのは」

とりあえず水で濯ぐことになって手を取って水洗い場まできた、目を濯いで彼女の瞳とぶつかる。


「…取れた?」

そういわれて正直わからなくて彼女の顔を覗き込むように膝を曲げて見た、なんかここまで目を合わせることなんて普通なくてきっと俺だけが意識してるんだと思うと虚しくなった。


「…多分、大丈夫?」
「もう頼りないなあ」
「なっ…だって見えないんだから仕方ないだろ」

そういうから少ししか身長は変わらないけど彼女の頬をつかんで上を向かせる、さっきは屈んであげたが今度はそうしてやらない。すこし上目遣いになった彼女が俺を見つめてて胸がはやる。


「…大ちゃん?」

そんな声でいわれたら、こんな距離で見つめられたら、その口を塞いでしまいたくなる。何にも言えなくして俺が男だってわからせてやりたくなる。


「…この前、見たんだけど」

言おうか迷った、俺のものにしてしまいたいって気持ちを必死で抑え込んでたのに。止まらない、俺がどれだけ彼女のことがすきかわからせてやりたい。


「…え?」
「…名前って彼氏に言われたらなんでもやるんだね、」

焦った顔、そして見せるか迷ったけど俺はこの間そんなつもりで撮ったわけじゃなかった写真を彼女に見せた。その写真は彼女が講義室で一人でしてる写真。下着をずらして彼氏に言われるがままに自分の指で慰めてるもの、最初それを撮るのに罪悪感があった、だけどどうしてめそれを目に焼き付けたくて気がつけば一枚だけ写真に収めてた、それを見て自分をどうにか律する為に。


「…やっ、それ」
「じゃ…俺にもしてみせてよ、」

そういって近づけた顔を彼女は避けなかった、ただ拒むようにすこし後ろに下がろうとしたから掴んでた頬をそのまま上を向かせたまま唇を重ねた。彼女の口から甘い声がもれると止まらなくなって確かめるように唇に噛み付いた。もれる吐息も甘くて感触が柔らかくてつかんでた手が震えてて俺の知っていた彼女そのままですこし嬉しくなった。だけどこんな事をしてしまった以上、もう後戻りは出来ない。


僕のものになればいい
( 存在を確かめて )
( 君が僕のなかにいるってこと )

fin .





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