※銀河美少年→タクト(→)←スガタ。けどタクトいません


「あのさぁ、あんまりタクトに近付くのやめてくれない?」
夕陽の中に星を溶かしたような色を滲ませた髪を指先で弄びながら、どこか幼さを残す少年が心底面倒だという風に口を開く。装飾過多にも思える白いコートを羽織り悠然と佇む姿は、モノクロに沈む世界で見慣れたツナシ・タクトの銀河美少年としてのもの、そのままだった。
けれど、表情ひとつ取っても端々から温かみを感じる本来の彼とは違い、今ここに存在する彼は酷く冷えた空気を纏っている。
タクトの顔はしていても彼ではないのだと分かると、スガタは敵に相対する時のように五感を研ぎ澄ませその少年を睨み付けた。対する少年も剣呑さを帯びるスガタに怯む様子は無く、軽く肩を竦めてみせる。その仕草はまるで聞き分けのない子供でも相手にしているかのようですらあった。
「きみが傍にいるとタクト落ち着かないみたいだし。正直きみが係わるようになってから悪い事ばっかり起きてるじゃない」
使いこなせもしないのに第一フェーズを連発したりさぁ。
知ったように、いや事実知っているのだろう呆れた口振りで少年が続ける。
スガタ自身自覚が有るだけに一瞬言葉に詰まる。かと言ってそれでタクトから離れろとは聞き捨てならないと、強く拳を握り締めた。
「……僕とタクトのことでお前に指図される謂れはない」
やっと表に出せた声は少し掠れていた。
目の前にいる人物が何者か分からないことに焦燥に似た思いがスガタを襲う。
「お前には関係ないことだろう」
タクトの顔をしてタクトではない、けれどスガタが思っている以上に彼の深層に近い位置にいるのだと肌で感じる。
それを察してか、少年は気だるい表情に僅かに笑みを乗せて楽しげにブーツの踵をひとつ鳴らした。
「面白いこと言うね、きみ。――でも、残念だけど」
一歩詰められたことで縮まる距離。
彼と同じ燃える色を宿した瞳がスガタを捉えて嫌悪も顕に細められる。
「タクトは僕のものなんだ」


所有権の在り処


……だからきみには貸してあげないよ?




私得で本当すみません…。3月メディア版権のWタクトが可愛すぎるのがいけない。
@11-0220

モドル
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