「スガタってモテるよね」 放課後のまだざわめきを残す教室で、タクトは廊下側に位置するスガタの座席の真ん前を陣取り、しみじみと呟いた。 校章の大きく入った鞄を開き帰宅の準備を進めていたスガタは唐突なタクトの言葉に首を傾げる。 「どうしたんだ、急に」 「だってさー昼休みの時もさ呼び出されてたじゃん、可愛い女の子に」 言われて思い出したと言うように「…ああ」とスガタが頷き、それを見てタクトは渋い顔になる。 「なにその反応。いくら告白慣れしてるからってひどくない?」 そりゃあスガタにはすでに可愛い許婚がいるんだから仕方ないけどさ。 拗ねたみたいに唇を尖らせてそう零すタクトにスガタは苦笑した。 「ワコは関係ないよ。僕が彼女たちに興味がないだけだから……そういう意味ではね」 にっこりとスガタが笑い、タクトは頬杖をつくとそんな彼をまじまじと見つめた。 顔は言うまでもなく最上級、勉強やスポーツも傍から見ても苦手なものはほぼ無い所謂文武両道というやつだ。家柄は島一番の名家でしかも跡継ぎで、性格だって多少の歪みはあるものの(それはタクトが知るだけだが)穏やかで男女に分け隔てなく優しい。 絵に描いたような王子様――むしろ欠点を挙げる方が困難だろう。 「……まあ納得だよねえ」 「どういう意味かな?」 大きな紅い瞳がきょろきょろと自分を観察するのが微笑ましくてスガタが口元を綻ばせると、タクトもつられたようにぱっと笑った。 「だってさー」と楽しげに猫目が細められる――僅かに頬を染めて。 「僕が女の子だったら確実に惚れてるもん」 無自覚告白 短い上に直球タイトル。にょたフラグではありません 笑 この後のスガタさんは「え、ちょ、なに今の?!」って感じで動揺してるはず。 @11-0105 モドル |