※双子設定+1月メージュ版権ネタ 似てるか似ていないかで言えばどちらかといえば前者。 容姿も中身も多分それほど似通う部分は無くて、間違われることもない。 赤の他人だと言ったら納得されるんじゃないかってくらいなのに。 不思議なものだなあとタクトは感慨深く思った。 「タクト?」 「あ、うん? なに?」 「立ったまま寝るなよ」 太陽が沈みゆく地平線を眺めぼんやりとしていたタクトの手を引き、スガタが皮肉まじりにそんなことを言った。明らかなからかい口調。いくらなんでも直立状態で寝るもんかとタクトが口を尖らせるとスガタがまた笑った。学園内で見せるような余所行きの笑顔ではないのは、タクトが彼にとって特別な人間だからなのだろう。 特別、そう僕たちは特別な関係だ。 「うぅー寒いー」 「海に寄って帰るって言ったのはタクトだろ」 吹き付ける風に茜色の髪が躍る。いくら南の島だといっても冬にもなればそれなりに冷え込む。コートはまだいいかと油断していたが、そろそろ引っ張り出さねばなるまい。 寒さに体を縮こませる少年の首元に無造作に巻かれたマフラーを見兼ねてスガタがきちんと整えてやる。 この赤のストライプのマフラーは、去年スガタからタクトに贈ったクリスマスプレゼントだ。同様にスガタが身に着けている青のストライプのそれはタクトから贈られたものだった。示し合わせたわけでもなくお互い秘密にしていたにも拘らず、当日プレゼント交換をしてみたところ色違いなだけで見事に同じものを用意していたのだ。 やっぱり似ているのかなとスガタの指先が器用にマフラーを纏めていくのを目で追って、あっという間に綺麗に巻かれる様にタクトは感嘆の息を漏らした。 「さっすがスガタだね」 「これぐらいできなくてどうするんだ」 まったく、と肩を竦めるスガタははたと目を細め考え込む仕草をすると、いや、とタクトの手を再び取って苦笑いを浮かべた。 「タクトは別にできなくてもいいか」 「なっ、何それ。いくら僕が不器用だからってひどくない?」 スガタの言葉に不貞腐れるタクトの手のひらをぎゅっと握る。 「だって、タクトには僕がいるだろ」 「…………お前、過保護だってワコに笑われるぞ」 いつの間にか緩んでいるスガタのマフラーに手を伸ばし、不恰好ながらも整えてやりながらタクトが呟く。 いつも頼ってばかりなのは自覚している。あまり一緒に居すぎるのも良くないんじゃないかと距離を置こうとしたこともあった。けれど、その度にこうしてスガタはタクトの手を引いて甘やかしてくるのだ。そしてタクト自身それに安心してしまうのも、また事実で。 「…手、つなぐと安心するだろう?」 「へっ? なに急に? エスパー??」 ぼんやり考えていたことを読まれたようなタイミングの言葉にタクトがスガタを振り仰ぐと、冬の海に似た穏やかな微笑が向けられていた。温かな手のひらと同じ、タクトに安心をもたらす笑みを。 ああ、またそんなふうに僕を甘やかす。 「タクトのことなら何でもわかるよ――僕らは二人で一つだからね」 共有する手のひら 例の誕生日は諸説ありますがどうなるのかなと思いつつ、似てないようで似てる双子ネタ。メージュの版権はもう突っ込みどころ満載でしばらく悶えました(笑 それにしてもマフラーの巻き方って色々あるのですね。 @10-1212 モドル |