誠凜無駄話 02 | ナノ


※キャラ崩壊
※全力で黒→→→→→火
※それでも管理人は火黒の方が好き





「と、いうわけでもうすぐクリスマスな訳ですが」
「え、どうしたのお前」

部活が終わった後の部室にて、喋りだした黒子に火神は意味不明と言いたげな目を向けた。黒子はお構い無く続ける。

「おつむの足りない火神くんはこちらでのクリスマスの習慣なんてすっかり忘れてしまっていますよね」
「聞けよ!そしてバカって言われるよりムカつくな!!」

突然の悪口に火神はがぅっと喚いた。遠回しな言い方が余計怒りを煽ったらしい。

そんな中ぽんぽんと黒子の肩が叩かれる。

「部室でクリスマスの話題出すとか…いい度胸してるな黒子、ん?」

日向がにっこり笑っていた。あれ?クラッチ…タイム?一年生はひぃと日向に怯えた。

伊月は日向の怒りの明白な理由に苦笑した。

「まぁ…クリスマスにはWCだからね」
「ん?でも火神、アメリカのクリスマスってどんな感じなんだ?」

木吉が尋ねた。火神は少し悩み答える。

「そう、すねぇ…まぁ家族とケーキ食べてのんびりして…」
「地味だ!!」
「あー、らしいよね。日本が商魂逞しく盛り上げすぎというか…」

小金井は意外だと目を見開き、伊月も前に聞いたことがある、とやはり苦笑いした。

そうなんだよ!!と日向が吠えた。

「だから日本ではクリスマスを恋人と過ごすなんて、おかしいだろ!!」
「そこかよ」

と、つっこむのは伊月。

「あっ、そうなんすか」
「ほらやっぱり火神くん知らなかったじゃないですか」
「るせぇ!」
「だからクリスマスは一緒に過ごしましょうね」
「接続詞おかしくねぇ!?あとWCだっつってんだろが、どうしたって一緒だろ」

火神が黒子に翻弄されている間に、ひとり怒り燃え上がっている日向に木吉が歩み寄った。

「日向」

木吉はキリリと眉をあげた。

「恋人は未来の家族、だから一緒にいても良いんじゃないか…?」
「なん、だと……?」

木吉のイケメンっぽいスマートな答えを聞き、日向は激しく動揺した。

土田がぽそりと言う。

「あれ、つぶやいたーのネタだよな」
「あー、知ってる。あのお父さんには惚れた。ハッ、ラブレターで惚れたー!!キタコレ!!」
「はいはい伊月はいはい。つか木吉ってつぶやいたーやってたんだねっ。水戸部がアカウンコ知ってるってさー」

ねっ?と小金井が尋ねると水戸部はコクリと頷いた。

「まじでか!ってちょっと待て」

水戸部がつぶやいたー…!?

事件だった。木吉と相対していた日向も水戸部のもとに戻ってくる。

「え、ちょ、教えて!!水戸部アカウント教えて!!」
「日向必死だな!…………水戸部俺にも!!」
「伊月もか!!」
「水戸部のツイートはおもしろいぞー!」

これでコガでなくとも水戸部の話がわかる…!!部員は歓喜した。しかし期待は裏切られる。よろこび勇んで確認したところ水戸部のツイートは全て顔文字だった。

「………Oh」

誰かが、ぽそ、と落胆の声を漏らした。

「クリスマスといえば、やっぱプレゼントだよな」

木吉が何事もなかったかのように話題を変えた。天然って助かるなと日向はたまに思う。

「日向は小さい頃何貰った?」
「あー…まぁ仮面ライダーのおもちゃとかポケモンのゲームとか…」
「ていうかさっサンタさんいつまで来た?」

俺は小4!と小金井は主張する。全員の話を総合すると小学校低学年から中学年でネタばらしがなされるようだ。デッドラインは中学らしい。

話を静かに聞いていた黒子がうーん、と何やら悩んでいる。火神はどうしたんだ?と黒子に尋ねた。

「あ、いえ。僕と火神くんの子供だったらどうしようかと…やっぱバカワイイんでしょうね、何歳でネタばらししましょうかね」
「」

十二月にもなると部室は本当に冷え込むよね、と降旗は思った。

「ちょっと待ってくれ。えーあーどうしようツッコミが追い付かねぇ!どこから攻めれば良いんだ!?」
「落ち着いてくれ、いや違うな正気に戻ってくれ頼むから!黒子――男は妊娠できないんだ!!」

二人の会話を聞いてしまった周囲が必死になって諭す中、黒子は穏やかに笑む。

「ふふ、大丈夫ですよ、僕、できそうな気がするんです………処女懐妊」
「しまった全然通じなかった!!」
「前半比較的大人しくしてたから乗りきれると思ったのに!」
「あと処女懐妊じゃイエスキリストが爆誕しちゃうよ!」

部員はもう大パニックだった。そんな中ひとつの大きな影が部室の出口に向かってダッシュした。させるかと日向が飛び付いて転ばせる。アメフトか。

「火神ぃ、逃げんな!!逃げんなら黒子連れてけ!!」
「いやだっ!てか連れてったら意味ないじゃんです!!」

火神は泣きそうな表情で顔をぶんぶん横に振った。いくらスルースキルが高い彼でも処理が不可能だったらしい。

もはや阿鼻叫喚地獄と化した部室で、木吉は大真面目な顔で黒子に近付いた。

この局面で、木吉。嫌な予感はしていた。

木吉が口を開く。

「なぁ、黒子…処女懐妊だと火神とセックスできないぞ?」

それでいいのか?木吉は何段階も話をすっ飛ばして訊ねていた。

日向は思った。これだから天然は嫌いなんだよ!!木吉死んどけ!

しかし、黒子はなんでもないことのように、天使のような柔らかな笑顔で答えた。

「ああ、その点なら大丈夫です、僕が身籠るまでは取り敢えず僕が火神くんにつっこ」
「ハァァァイこの話終了――――!!!!」
「俺ら高校生!健っ全な 高 校 生 !!」
「誰でも聞けるお話しような!!」

果敢にも黒子の話を遮ったのは降旗・福田・河原の1年補欠トリオだった。降旗に口を塞がれた黒子はひとまず沈黙した。日向たちは後輩たちの勇ましさに感涙する。ッ………お前ら立派に育ちやがってッ……!!

頃合いを見計らって降旗が手を離すと、黒子は素直に謝罪をした。

「ああ、すみません、些か興奮してしまったようです」
「いささか…」

部員たちはげっそりとした。中々、大きな嵐だったように思える。

ダメージは回復していないが、もう遅いし帰るぞ、と日向が呼び掛けた。部員はそれぞれ帰宅の準備を完了させていく。

荷物を抱えて、黒子がぽそりと言った。

「………クリスマスこそ無理ですが、WCで優勝して、年が明けたら皆で初詣に行きましょう、」

声こそ小さかったが、しっかりと聞き取った誠凜高校バスケ部員たちはその言葉に力強く頷き、当然だの生意気だの言って黒子を小突いた。

しかし、そんな黒子を見て、全員が頭の隅っこで「黒子ってアレさえなけりゃなぁ…」と残念がっていたのだった。


Happy Merry X'mas!!



20121224

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