退廃とアイロニー | ナノ


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※生理ネタ、異常性癖です
※ヤってるだけ






赤司くんの部屋はいつも清潔だ。完全無欠な彼は、お手伝いさんがやるのか自分でやるのか知らないけれども部屋も綺麗に整える。香りもしないほどで、無臭。だから僕が彼の部屋に訪れる時はいつも少し緊張してしまう。自分だけが異物で、汚いもののように感じるのだ。ただ、その緊張は赤司くんに言わせてみれば無用な気遣いであるらしい。

そんな清潔な部屋で、赤司くんが僕に圧しかかってきたとき、僕は困惑で眉間にシワを寄せた。

「あ…赤司くん…あのですね?どうして、その…」

少しばかり発言しがたい内容だったので僕が言いよどむと、赤司くんは続きを目で促した。僕はぐうと言葉を詰まらせる。赤司くんの赤と黄の目が、この現状をおもしろがっていることを隠すことなく伝えてきたからだ。赤司くんはにやにやと下卑た笑いを浮かべながら、僕に言った。

「テツヤ、言いたいことは言わなければいけないよ。僕が、なんだって?」

ああ、言わせたいんだな。彼の要求に応えるのは面白くなかったけれど、僕はため息まじりに言葉を続けた。

「…生理のときばっかり、求めてくるのは何故ですか」

赤司くんは、何故か僕の生理の周期を把握しているようで、生理の度に僕を部屋に誘う。

今、ベッドの上にぺたりと座る僕の太ももの下には、眩しいほどに白いタオルが敷いてある。さっき赤司くんが制服のままの僕を座らせたのだ。直に触れるタオルは柔らかく滑らかで、きっと高いタオルなんだろうなあと察しがつく。そんなタオルたちは、もう何回も僕の経血でぐちゃぐちゃにされてきた。

赤司くんはくすくすと笑った。

「もっと下品な言葉を使って表現してくると思ったよ」
「どうしてわざわざ赤司くんを喜ばさなきゃならないんですか」
「たまには良いじゃないか」
「はあ。僕の股ぐらをぐちゃぐちゃ探るのは何故ですか」
「ふふ、汚い言葉、ぞくぞくするね」

赤司くんはとても嬉しそうな顔をする。形の良い指が、僕のスカートの下から侵入して、パンツに引っかかる。抵抗する気もないのでそのままにさせておくと、ずるずると僕のパンツはずり下げられた。今日は二日目だ、出血量が最も多い。ナプキンが陰部からもったりと離れて、ついでに赤い物が糸を引いた。白いタオルに早くも赤いシミが出来た。

「で、僕の質問には答えてもらえないんですか?」

赤司くんは僕の膝を立てさせる。

「特に答える必要はないと思ったけれど。興奮するからじゃだめかな」

赤司くんは僕のスカートの中を、じっと見ている。なんとなく僕は、膝を擦り合せてしまう。

「それだけだと、納得はいきませんね、…ん」

赤司くんの指が、僕の太ももの奥に触れた。その指はそのまま奥に奥にと進んで、僕の秘所をぐるりとかき回した。正直、感じるというより変な感覚だ。粘膜はどこも感じるとか言うし、その中でも一番感じやすい場所であるとは言えど、触れ始めた時はそんなに馬鹿みたいに感じたりしない。

しかし、奥から溢れる感覚には、確実に快楽が混じる。

「ん…ふ、ぅ」
「あ、出てきたよ、テツヤ」

赤司くんは嬉しそうに、その塊を僕の眼前に晒した。どす黒い赤が赤司くんの指を汚してぬらぬら光っている。

「きっと子宮内膜だね」
「はぁ、赤司くんは保体も完璧ですもんね」
「無論だ」

赤司くんは指先の血と肉のかたまりをじっと見つめて、匂いをかいだ。僕だって最初は赤司くんの凶行に羞恥し慌てたものだけれども、何回も繰り返されると慣れてしまう。赤司くんはその塊を、最後には綺麗な唇の、その奥へと入れてしまった。

「汚いです、その口で絶対にキスしないでくださいね」

指をしゃぶりながら、赤司くんはちらりと僕の方に視線を向けた。

「つれないね…いいよ、ここにするから」

赤司くんは僕の足を持ち上げた。

「え…あ、ッあ」

思わず拒否をすれば、赤司くんは僕の股間に顔を埋めて舐め始めた。赤司くんの肩の上ではびくびくと自分の足が跳ねている。粘膜と粘膜が擦れる、くすぐったいものはさっきよりも確実に僕に快楽を与えてくる。膣の入り口に舌がたまに入り込むのがもどかしい。生理中であっても人間は器用にも欲情するのだ。

「や…赤司く、くすぐった」
「ん」
「いやあああ、広げないで、くださ」

抵抗なんて意味はない。ちょっとすれば赤司くんの指が、多分もう三本、僕の中でぐちゅぐちゅ動いている。いきなりすぎて痛い。そのうえ、バラバラに動いたり、鉤みたいになって掻きだしたりせわしない。赤司くんは指で僕を弄り始めた後は僕を見下して、楽しそうに目を細めている。口元が僕の血でまっ赤だ。変態。目で伝えると一番敏感な部分をつねられて腰が跳ねた。涙で天井が歪んで見えた。余裕ぶってるけど僕は知っている。赤司くんだってこれだけ僕で遊んでいれば興奮していっぱいいっぱいになってる筈なんだ。

「ん、あア、あああ」

スカートは全部捲れ上がって、なんともかっこわるい。白いタオルは赤いまだらが確実にその面積を増やしている。僕は赤司くんの服を引いた。

「あ、赤司くん、っひん、」
「ん?なんだい」
「…まだ……挿れないんですか」

気持ち悪い、痛い、気持ちいい、欲しい。あ、またずるずると塊が出て行った。保健の授業で習ったな、生理では赤ちゃんのお布団になる筈だった血肉が、崩れて壊れて流れて行くのだそうだ。

ずるずるの塊を赤司くんが引きずり出した。どうしてこんなことにも快楽を感じてしまうのでしょうか。赤司くんは真っ赤な手のひらで、自分の性器に触れて数回こすった。

「挿れるよ」

僕は咄嗟に赤司くんの背中に手を回した。熱い塊が、僕の中へと侵入してくる。いつもだったら愛液だけがあふれている、今は血液も混ざったそこへ、赤司くんの興奮しきった物が挿入されていった。

「あ、ああ、んっ」

ずぐ。一番奥まで入りきった。ぐちゃぐちゃ、ぐちゃぐちゃだ。はあはあと息は荒くなって、だらしなく涎が垂れそうになった。赤司くんも少しだけだけれど、切なそうに顔を歪めて口だって半開きになっている。僕が彼の恋人をしていていいなあと思える瞬間だ。快楽に流されてだらしなくなっている彼を、それでも美しくある彼を見ることが出来るのは、僕だけなのだ。

「んっ、あっあっ、あああ!」

赤司くんが腰を動かすと、もう声なんて押さえてられなくて僕は浅ましくも啼いてしまう。赤司くんの固いのが、奥で擦れて、足が引きつりそうになる。どうして、こんなに気持ちがいいんだろう。生理中で正直おなかも痛かったのに、そんなの吹っ飛んでしまう。揺れる世界の中で、僕は笑えてきてしまった。

「?テツヤ、」
「は、ッ、ね、赤司くん」
「ん?」

僕は赤司くんを強く抱きしめた。

「中で出してください、ね」

ふ、とついに笑ってしまうと、嫌だと言ったのに黙らせるように深い口づけをされてしまった。鉄の香りと味が気持ち悪いのになんだかとても背徳的だ。その唇に喘ぎを殺されている間に僕は絶頂を迎え、おなかの中には血液なんかよりも、とびきり熱いものを注ぎ込まれてしまった。

赤司くんの赤ちゃんになるべき精子は、僕の中の赤ちゃんのふとんと一緒に、僕の体から出て行ってしまう。赤司くんは全て終わった後、進んでそれらを掻き出したがる。何かに、執着するかのように。

そう言えば、赤司くんにはお母さんがいない。だから、どうという話でもないのだけれど。


退廃とアイロニー



20131123

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