本誌読んでない人が虹村先輩について必死に考えてみた | ナノ


■本誌読んでない人が虹村先輩について必死に考えてみた

※捏造注意



あ、よーす。こんな忙しい時期に集合かけて悪いなー。でも大事なことだから時間とらせてくれ。文句言うなよ?先輩様だぞ。いや、今日はさ、良いもんやろうかなーって思ってお前ら集めたんだよ。それじゃ、時期キャプテンからな。

赤司ィー。赤司にはこの左目をやろう。未来までを見通せるような、優れた目だ。お前、そういうの好きだろ。ま、でもいつか、未来だけじゃなくて、今を見れたら良いんだけど。お前は大局を見るだとか、おおそれたことを言って小さなことを捨てて行くことがあるからな。特別じゃないことも良いもんだぜ?

緑間には左手な。機械なんかよりも確かな左手だ。緑間が使うんだったら、俺の左手も幸せだろうな。きっと大事に大事に使うんだろうな。それだけ大事にできたら、そのうち物足りなくなって、もっと別のものも大切にしたくなるんだろう。お前の自分への興味が、他者に向いた時にお前がどう化けるか、楽しみだよ。取り敢えず、この先頼むぞ副主将。

Cの紫原にはパワーだ。お前の力強いブロック、かっけーよ。好きだぜ、そこんとこ。面倒とか言わずに貰ってくれよ。力って、壊すだけじゃねーんだ。聞き分けのないお前に、教えてくれる奴がいたら良いんだけど。

んじゃ、次。黄瀬には右目。赤司にやった左目みたいに未来は見えやしないけれど、未来は、お前が苦心しながら自分で掴んでいく方が好きだろ。簡単に掴めてしまったらつまらない。だからせめてその助けに、相手を細かく観察できる目だ。見ることにかけては、もしかして誰よりもお前が優れてるかもしれない。…すぐに見えるって信じてるぜ。

帝光エースの青峰には大盤振る舞いだ。技術と脚をやろう。敏捷性は大きな武器になる。お前、バスケ大好きだもんな。きっともっと強くなる。そうしたら、きっともっと好きになるんだよ。それこそ、好き過ぎて辛いくらいだ。

六人目の黒子は最後になっちまったな。そうだなぁー、お前には右腕をやるよ。力強いパスが繋げる。あとさ、皆いらねえっていうから残っちまったんだけど、俺の影やるよ。きっとお前なら大切にしてくれるだろ。そんで、影は、黒いだけじゃないんだ。影の中に何が見えるかはお前次第だ。お前なら、絶対に見えるんだ。

でも、できたらその中身、いつか他の皆にも見せてやってくれよ。今のアイツらには絶対見えないと思うし。

じゃあ、時間だ。俺は消えるよ。もう、体も残ってねぇしなー。でも、お前らが使ってくれるから、いーわ!





灰崎は目を覚ました。コツコツと黒板を叩くチョークの音と、クラスメイトの静かな呼吸。授業中に眠っていたらしい。もとより真面目に聞く気がなかったので、灰崎に後悔や罪悪感はない。ぼーっとする頭を持ち上げて、意識が現実に同調してくるのを暫し待つ。

あげるものがある。受け取ってくれ。そう言ってキセキの奴らに分けるたびに、解けてなくなった虹村の体が、気持ち悪かった。解けて、解けて、黒子に「影」を渡した時には、体が全て消えて。それなのに虹村は愉快そうにずっと笑っていた。

これは悪夢なのだろうか。灰崎は少し悩んで、悩むだけ無駄だと諦めた。悩んだところで所詮は夢なのだ。現実の灰崎には関係ない。ただの立会人であった灰崎には。

変な夢、みたな。それだけで良い。

灰崎は窓の外に目をやる。灰色の曇り空。灰崎は机に伏せる。姿勢が安定したところで目を瞑った。

眠ってしまった彼には見えないが、校庭に植わった桜の木はつぼみが膨らみ始めていた。


春暁



20130522

back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -