いつの間にか好きになってた。



きっかけなんて覚えてなくて、きっと当たり前のようにお互い惹かれ合っていたんだと思う。流れに身を任せる行為の善悪なんて分からないけど、あたしは今、幸せだ。





「弓親」





そっと呟くような、下手したら呼吸の音しか聞こえないような小さな声で呼んでも、彼はあたしを見て微笑んでくれる。





「よく聞こえたね」
「なまえの声だからね」





自然と耳に入ってくるんだ。
愛しくて、優しくて、大好きなあの笑顔でそういってくれた。

だから弓親も小さな声であたしを呼ぶとき、例えどんなに小さな声だったとしても必ず聞き拾えるんだ。だって、人にされて嬉しいことは人にするべきだって知ってるから。

あたしは、あなたがあたしを呼んでくれることが本当に嬉しいから。





「どうしたの?」
「なんでもないよ」





嗚呼、なんて和やかな時間なんだろう。私は弓親の手に手を添えると、自然と身を乗り出していた。







大好きなあなたへ
戦いで死ぬまでは、せめて一緒にいてほしい。




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