俺はコイツが嫌いだった。自分で選んで攫ってきた女だから本心では嫌いではないがそれは見た目云々の話で、自身を純潔だと称す所が気に食わなかった。

いや、確かにコイツは純潔だ。そして俺が思っていた以上に海賊を嫌う女だった。おれたちを“ヒトゴロシ”とひと括りに罵り、自身は我関せずといった様子でのうのうと船に乗る女だった。





だがそんな女にも終わりがきた。おれの船が敵襲に遭った際、アイツは護身用としておれがあらかじめ渡しておいた銃を使ったのだ。

そして人を殺した。

おれがコイツを発見した時には時既に遅しといった状況で、血の海は部屋の暗さに増して赤黒くなっていた。いい気味だと、思った。







「正当防衛だろ」





目の前で座り込んでいるコイツの腕を引き上げると、案外軽くて驚いたのを覚えている。

顔はよく見えなかったが大方放心状態なんだろう、いつもはギャーギャーと言い訳をするうるさい口を全く開かなかった。





「これでお前もヒトゴロシだ」





そう言えばアイツは一筋、二筋と次第に涙跡を作り始めた。ようやくこの女を心から愛せそうだ。







参加
綺麗過ぎたお前は、やっとおれに相応しい女となった








「歓迎してやるよ」





おれは耳元で小さく呟いた。







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