私は非戦闘員だ、というのも実は攫われて無理矢理連れてこられた一般人だからだ。そんな私は勿論ヒトゴロシなんてしたことがなかった。それにこれからもする予定はさらさらない、はずだったのに、
私の目の前に広がるのは血の海、そしてその海に俯せる1つの男の姿。ついにやってしまった、ああああ平常心を保っている自分に腹が立つ。
「正当防衛だろ」
私の後ろに現れたのは船長で、見上げてみてもその瞳は帽子の影に隠れてよく分からない。ただ、彼の口元が微かに笑っている気がした。
船長は私の腕を持ち上げて立たせる。なすがままに立った足が、自分の足だとは思えなかった。
「これでお前もヒトゴロシだ」
ああ、この人はなんで残酷な言葉を吐くんだろう。私の頬からは2筋の涙が伝うだけだった。
参加
降りることは出来ない、無限ループの連鎖へようこそ
「歓迎してやるよ」
今ならこの悪魔の囁きでさえ受け入れられそうだ。この気持ちを、なんというのだろう。