ここはまだ偉大なる航路に入る前の海。ローグタウンに麦わら一味が現れたあの日から、あたしは白猟の船に乗っていた。
「寂しいのか?」
白猟はじっと海を眺めていたあたしに問いかけた。あたしは一瞬だけ白猟を見て、また視線を海に戻した。
「……何の話?」
「麦わら一味のロロノア、あいつはお前の幼なじみなんだろ?」
ああ、なんでバレてんだろ。誰にも言ってないはずなんだけどな、ていうか言えないじゃん?東の海で有名になった元海賊狩りのアイツは海軍で最近中佐を勤め始めたあたしの幼なじみです、なんてさ。
「一体いつの話をしてるのよ、未練なんてサラサラないわ」
「その割にはこの船を降りねぇな」
「っ行く宛がないのよ!!」
あんたが無理矢理あたしを連れてきたせいでね、と悪態をつけばハンっと鼻で笑った。
「おれは麦わらを捕まえる為に偉大なる航路へ入る。お前はどうだ?」
口説き文句にしては色気がなさすぎる。だが、そんな言葉に乗せられた私はもっと色気がない。というか白猟はあたしがロロノアの幼なじみと知ってて船に乗せたんだろうか、そうだとしたら惨すぎる。
「やっぱり乗るんじゃなかった」
「ああ?」
「、何でもないわよ」
次の島が見えたら起こしてちょうだい、と言って部屋に戻ればたしぎがあたしの部屋を掃除していた。
悲哀
なんて残酷な運命の連鎖。