「お疲れ様です、日番谷隊長」
「ああ」
残業にもそろそろ見切りの目処が付いてきた頃、日番谷隊長にお茶を差し出すと彼はそれを一気に飲み干した。
よっぽど喉が渇いていたのか、はたまた私の淹れたお茶を美味しいと思ってくれたのか、出来れば後者であってほしいと願う。
「帰らねぇのか?」
「帰ってほしいんですか?」
「……いや、いい」
ちらりと一瞬、私を一瞥してから視線を戻した日番谷隊長。変に巧みな言葉を使わない、そのウブな行動が何とも可愛く思えて、クスッと笑ってみた。
「……笑うなよ」
「ふふっ、ねえ隊長」
「ああ?」
眉間にシワを寄せて、既になくなったはずの湯呑みをもってもう一度飲もうとする彼に、ちょっとだけイタズラがしたくなった。
私は日番谷隊長の執務机まで歩いていって、彼の耳元にそっと口を添えると、こう呟いてみた。
「キス、しちゃいません?」
秘愛
私と隊長が恋仲だなんて、誰も信じないでしょう?だから秘密にしてるのよ。