好きだとも嫌いだとも言わない、そんな関係になってから何十年が過ぎただろうか。私の心は少しの空白を背負ったまま、ただ時が流れるのを待つだけだ。





「おう、起きたのか」





目の前には上半身を起こしてタバコを吸っている修兵の姿。昔はその姿を見て格好良いだの何だのと騒いでいた自分が居たのだと思うと、なんとも懐かしい。

今となっては、私の意識は修兵よりもその煙を疎ましく思うようになったのだけれど。





「明日、非番なのか?」
「うん」
「そうか」





そして訪れる沈黙。初めはこの沈黙が大嫌いだったのだが、残念ながらもう慣れてしまった。



時々考えること。
それは私達たちのこの関係がいわゆる「慣れ」というもので、いたって平穏の塊であるということ。

修兵にとってはこの距離が最適なのかもしれない。今のままでいいと思っているのかもしれない。でも、私は違う。





こんな関係、悲しくて、冷たくて、なんの憩いにもなりはしないのだ。







氷愛
これを冷めきった愛と云わず、なんと云うのだろうか




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