アポロさんから久しぶりの外出許可を貰った。そしてそれは私だけでなく、ランスさんも一緒に。
「あなた達、まだデートもしてないのでしょう?」
少し前、ランスさんの恋人であることにプレッシャーを感じて、アポロさんに相談を持ちかけていた時期があった。その時に私が自分でも気付かないほどさり気なく、ひっそりと漏らした願望を、アポロさんはしっかり掬い上げて叶えて下さったのだ。
本当に優しい人だと思った。
「なまえ、準備できましたか?」
「はい……!」
ノックと共に聞こえる声に反応すると恥ずかしいくらい声が裏返った。そんな私の心情も諸ともせずにランスさんは扉を開ける。
「ど、どうでしょうか?」
「……」
既に用意を終えた私を見て、ランスさん何も言わずに近づいて来た。
初めてみるランスさんの私服、本当にシンプルなものだけど違和感なく着こなしているのがすごい。文句の付けようもない姿で近づいてきて、そしてこの無言の空気お陰か、自分の心臓がもの凄く高鳴るのがすごく分かった。
「こういう服、私は好きですよ」
「あ、ありがとうございます!」
「可愛いです。なまえ」
ランスさんは微笑み、私の髪を一束掬って指をさらりと通らせた。その行為と放たれた言葉が原因で私の頬は次第に紅潮していく。恥ずかしくて顔も上げられないとはこのことだ。
「行きましょうか」
「はははい」
高揚感を抑えきれず、上擦った声でも精一杯出しながらランスさんについて行く。
そのままさり気なくアジトを抜けて町に出る。コガネの町はいつもと変わらず賑やかで、今だけは一般人になれる気がした。
「なまえ」
「はい」
「手、繋ぎますか?」
そんな中、不意打ちで放たれた言葉にまた心臓の鼓動がテンポアップする。あああもう、やっと治まってきたと思ったのに!
タイミングは絶妙!
恋人つなぎを繋いだり離したり、肩先が触れ合う程度の距離で