デンジは自分の感情に素直だ、意外かもしれないけど。どちらかというと『来るもの拒まず去るもの追わず』とか『無頓着』というイメージがあったんだけど…違うらしい。
「〜っ心配しなくて良いってば!あたしにはライチュウがいるし、」
「いや送る。危ないだろ」
さっきからジムの前で繰り広げられてる痴話喧嘩?に最早誰もツッコミはしない。さっきまで面白がって見物していたジムトレーナーたちも呆れて消えてった。それくらいデンジの過保護っぷりは凄いのだ。
もしかしたら今が夜だとお思いの方もいるかもしれないけど……あははご冗談を、現在午後2時です。真っ昼間とはこの事。
「デンジは過保護なの!あたしだって一応できる人間だし」
「……そうかもな、でも心配だ」
聞く耳持たずと言ったデンジの態度にあたしの堪忍袋も思わずプチンと言ってしまったみたいで。いつの間にか彼を胸板を思いっきり押し離していた。
そのまま下を向いて「いい加減にして」と言えばよかったのに、学習能力皆無のあたしドンマイ。いつもの勢いで思わず彼の顔を見てしまっのだ。もうほんとドンマイ。
デンジはかなり悲しそうな顔をしていて、今にも泣きだしそうだったのだ(実際泣いたことはないけど。)なのでそんな彼に棘のある言葉も言うというのも少々詰まる。
「そんなに、嫌か?」
「(うぅ……っ)」
あたしの腕をそっと触れるように掴むデンジ。顔は俯いていて、声もかなり消沈している。ああああもう、なんなのこいつ。
おっきな小動物
じゃあよろしく、って言ったら目を細めて笑ってくれた。