カチ カチ カチ
掛時計の針はすでに11時に変わろうとしていた、そんな時間になってもグリーンはまだ帰ってこない。私は何をするでもなく、ソファーで座りながら彼の帰りを待っていた。腕の中には彼から貰ったヒトカゲのぬいぐるみがすっぽり埋まっている。
「まだかなあ……」
ぬいぐるみを見ながら話しかけてみるが、やっぱりそれは独り言でしかなくて返事は返ってこない。再び訪れる沈黙に自分虚しくなってきて、寂しくて、涙がじんわりと目に溜まっていくのが分かった。
こんな時いつも思う事があって、それは何で私はグリーンと付き合っているんだろうってこと。自分が悲しい思いや寂しい思いをしなくちゃいけないのは何を隠そうグリーンのせい。今日は早く帰ってくるから、って言っておきながらまた約束を破ってきたし。
でもそれ判っておきながら彼の帰りを忠実に待っている私も私だ。さっさと自分の家に帰って寝てればいいのに、もしくは彼の帰りを起きてまで待たなければいいのに。
頭ではそう思ってるのに。
「、グリーン!!」
「ごめんな、なまえ」
頬を伝う汗を光らせながら困ったように微笑む貴方が大好きで、私との約束を忘れずにいてくれたんだって嬉しくて、やっぱりいくら嘘をつかれても律儀に謝ってくれる貴方に少なからず愛を感じていて、
「ただいま」
目を細めて溢れんばかりの優しさを醸し出す貴方を見ると、やっぱり大好きなんだって思うの。
感情リセッター
貴方の笑顔で私は救われる。