私は昔っからレッドにべったりだった。別に傍にいるからといって何をするでもなく、ほんとにただ隣に居ただけ…でもそれも今日で終幕だ。
「結婚するの」
「……おめでとう」
レッドのピカチュウをブラッシングする手は止まらない、そして彼は表情すら変えなかった(今日は5年ぶり会ったっていうのにね。)ああこんなにも私の思いは一方通行だったんだ。歯を食いしばり、握り拳を作って溢れ出そうな涙をこらえた。
「それ、だけ」
それを言うためだけに俺の家に来たのか、きっとレッドはそう思っている。ピカチュウは私とレッドを交互に見ながら少し悲しそうな顔をしていた。それを見て正直少し救われた私がいた。
私ね、ほんとは期待してたんだよ。もしかしたら私が居なくなることを少しでも「寂しい」と感じてくれるんじゃないかって。でも、
境界線は深かった
彼に恋をした私を呪う