「ねえ、結局なんで私の前でバトルしてくれないんだっけ?」



あの恥ずかしい台詞を聞いてからいくらか時間が経ったのだが、再び本題をつつくとリョウはまた困った顔をした。しかし事実が知りたいだけの私はそんな彼などお構いなしに詰め寄っていく。それに反してリョウと戯れていた野生のケムッソたちは場の空気を察したように退いていった(いや、もしかしたら私の顔にびっくりしてにげてったのかも……そしたら凄くショックだ)



「そんなにバトルしてほしいんだ、なまえって変わり者だね」



そういって馬鹿笑いするリョウを見て、私は少し疑問を感じた。男の子というのは好きな子に少しでもカッコいいところを見せたいという生き物じゃなかったっけ?……あれ?

それとも何か、私にバトルを見せられない理由でもあるんだろうか…例えば戦い方がとても暴力的だとか。



「はは、そんなに睨まないでよ」
「……リョウ笑いすぎ」
「だって凄く可笑しいから」



一体何だっていうんだ、ツボを押されたかのように笑い続けるリョウを軽く睨みながら手の甲をつねってやる……があまり効果無いようで、未だに小さく笑い続けていた。

呆れた私は近くの切り株に腰を下ろす。それに気付いたリョウも少し経ってから私の前に立った。ちなみに笑いが止まる気配はまるでない。



「いい加減しつこい!!なんでそんなに笑うのよ」
「いや、だってね、」



私と同じ切り株に背中合わせで座ってきたリョウ。背中越しに伝わってくる感覚というのは何とも初々しくて、心地いいものだった。



「女の子はバトルより私を選んでよ!!って言いそうでしょ?」
「…私は言わないもん」
「それがあまりになまえらしかったから笑えたんだよ」





どうせらしくないもん


「じゃあ今度からデート中にバトルしまくろうかな!」
「……少しは構ってよね」
「あれ、矛盾してるよ?」
「いじわる……っ」



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